スミ塗り文書(乙85)について  (3)いまなぜ、スミ塗りの開示が必要なのか?!

Incamera  今回、このスミ塗り文書があらためて問題になったのは、空港会社の御都合主義的な釈明による。

「乙85は、昭和45年頃の耕作状況から推測したもの」(原告空港会社準備書面)だというのである。だから、これは不正確であり、その後につくられた「境界確認書」「同意書」(偽造文書のこと!)の添付図面が、市東さんの賃貸借地だと主張する。
 だがちょっと待て! 「推測した」というが、何をもとに、どのように推測したというのか? 肝心要のそこがスミ塗りされていては、市東さんも弁護団も調べようがない。
 土地収用委員会にまで提出したほどの「確かな証拠」を「推測した」にすぎないものへと評価変えするのなら、すべてを開示して根拠を示さなければならない。そうでなければ、裁判所としても判断のしようがないはずである。

 空港会社に肩入れして核心部を闇に葬るか、それともスミ塗りを解いて公正公平に判断するか、裁判所の真価が問われている。

▼右は「藤﨑政吉所有地(事件番号91)の取扱いについて(案)」と題する空港公団の調査報告書の一部。まるで“海苔弁”状態。3人の耕作者と耕作場所を明記した図面は、この文書に添付されていた

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スミ塗り文書(乙85)について  (2)合わせ図

_85_  「藤﨑政吉所有地(事件番号91)の取扱いについて(案)」(1987年10月20日付)に添付の図面に、偽造文書に添付の図面(1988年4月)を合わせてみた。

 「市東東市」を囲む白線が、空港公団報告書に明記された市東さんの耕作地。偽造文書(「境界確認書」「同意書」)に添付の図では、「41-8」と「41−9」とふたつの畑に切り分けて市東さんの耕作地とされている(黒の実線)。
 「41−9」を、市東さんは耕作したことがない。ここは石橋政次氏の借地だった。
 

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スミ塗り文書(乙85)について  (1)南台41番地の権利関係を空港公団が明示した一件書類

Incamera_mono_sss  耕作権裁判で開示を追求している“スミ塗り文書”とは、「藤﨑政吉所有地(事件番号91)の取扱いについて(案)」と題する、1987年(S62)10月20日付の空港公団(現空港会社)調査報告書のこと。

 空港公団は1970年(S45)11月、藤﨑政吉氏所有の南台41番地の土地について、土地収用のための裁決申請を行った(「91」はこの時の事件番号)。しかしこの時点で、空港公団は土地の耕作状況(権利関係)を把握できなかったが、その後の買収交渉に伴い、石橋政次、根本和之助、市東東市の三人が小作耕作していたことが判明した。藤﨑氏は1984年(S59)5月、土地を7筆に分割し、3人の耕作場所を測量して図面にした。
 空港公団はこの調査結果をもとに、1986年(S61)6月、土地収用委員会に対して、小作権者の存在と耕作面積・場所を明記して変更手続きを行っている。報告書は、小作権を収用するための詳細な調査報告だった。
 この報告書の添付資料には、誰がどこを耕していたかを記した図面が添付されている(右図参照)。その図面のほぼ中央に「市東東市」の文字が見える。太い線で囲まれた畑の形状と位置は、市東孝雄さんが一貫して主張し、現在も耕作を続ける場所と一致している。

 南台41番地における市東さんの耕作場所を示す証拠は他にもあるが、空港公団が詳細な調査の上に一件書類としてまとめあげ、その結果をもとに土地収用委員会に対して権利関係を確定させた報告書ほど、確かなものはないはずだ。ところが公団は、それから半年弱のうちに、これとは異なる場所・形状を記した偽造文書(「境界確認書」「同意書」)を作成し、市東さんには内緒で土地の売買を行った(1988年4月12日)。
  だから空港会社は、自分たちに都合の悪いこの報告書の提出をかたくなに拒否し、文書提出をめぐる約2年間の攻防の末に、白石史子裁判長のインカメラ(裁判所の判断による一部不開示)の制約はあったものの、証拠として法廷に引き出されたのだった。

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スミ塗り開示を求め厳しく追及!  6・26耕作権裁判

_s  6月26日、千葉地裁民事第2部(内田裁判長)で耕作権裁判が行われた。賃借地の証拠を必死に隠す空港会社と、その防波堤となる内田裁判長に対して、市東さんと弁護団、傍聴人が激しく迫る緊迫の法廷となった。

 冒頭、書面と証拠の確認直後、一瀬弁護士が、「乙85号証に関連して、スミ塗りの開示を求めたが、回答や如何。法廷で明らかにされたい」と口火を切った。「乙85」とは、市東さんの賃借地(南台農地)に関する空港公団(現空港会社)作成の書類。4年前に弁護団が激しい追及で提出させたもの。しかし大半が当時の白石裁判長によるインカメラでスミ塗りにされたが、市東さんの賃借地が図示されており、それが現在の耕作場所と一致することから市東さんにとっては決定的な証拠のひとつ。(この書類の内容と性格の詳細については次回解説)
 賃借場所をめぐるこの間の攻防で追いつめられた空港会社は、会社にとってまったく不利なこの書類(乙85)について、「昭和45年頃の耕作状況から、推測したもの」だと釈明していた。
 しかし詳しく検討すればするほど、肝心なところがスミ塗りで隠されている。「当時の耕作状況から推測したにすぎず、耕作場所は甲8、甲9号証(偽造証拠のことだ!)で確定した」との立場の空港会社に対して、「ならば何を根拠に推測したのか」「スミ塗り部分を開示しなければ、分からない」と激しく迫る市東さんと弁護団。

 一時間余の追及で浮き彫りになったことは、空港会社の盾となる内田裁判長の訴訟指揮だ。「すでに結論が出たこと。会社側が開示しないというのであれば、やりとりすることではない」という態度。
 だがこれは筋違いだ。今、新たに、空港会社が「推測に過ぎない」と評価変えしているのだ。過去の事ではなく、今の釈明に対する究明である。「内田裁判長自身が、インカメラで確認すべき」と追及すると、「その立場にない」などと意味不明なことばで打ち切ろうとした。
 弁護団は、改めて書面で追及する旨伝え、引き続き徹底的に追及する構え。
 その後、筆跡鑑定についての確認のほか、証拠関係の整理(賃料支払いの明細、双方による畑図面の座標軸の一致など)を裁判長は求めてきた。ここにも早期結審に向かう内田裁判長の姿勢が窺われる。

 裁判報告会で市東孝雄さんは、「あれが内田裁判長の本来の姿と受け止めました。弁護団と傍聴席とがんばって、少しは届いたかなと思う。空港会社を追いつめ、全部出させるよう、頑張ります」と述べた。裁判の前には、千葉市中央公園からデモ行進が行われた。
 次回期日は9月25日(月)、次々回は11月20日(月)、いずれも午前10時30分開廷。デモも予定されています。

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▼(写真上)裁判報告会で発言する市東孝雄さん
  (下左)スミ塗りの会社書類を掲げ説明する葉山弁護士
  (下右)裁判報告会の様子

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6・26耕作権裁判へ

 請求異議裁判と並行して行われている耕作権裁判の日程は以下です。多くのみなさんの傍聴をお願いします。

・6月26日(月)午前10時30分 開廷
・千葉地裁601号法廷
  ※抽選がありますので傍聴を希望される方は、10時までに地裁1階ロビーにお集りください
  ※農地取り上げ反対のデモが予定されています。9時、千葉市中央公園集合

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請求異議第2回裁判報告(続き)

 5月25日の裁判で弁護団が陳述した準備書面(2)は、(1)に続く追加の主張。ここでは特に、口頭弁論終結後の新たな事実に基づく展開です。弁護団は以下の3点を取り上げ、本格的主張の前段の求釈明を空港会社に対して行った。

①成田空港の深夜早朝発着の3時間拡大、B滑走路北延伸と第3滑走路計画
②成田空港の国際線航空需要の減少
③取香地区におけるGSE置き場の増設

 ①について、3時間の拡大で静かな夜はわずか4時間。これまでの飛行禁止の規制を大きく破る計画に、空港会社の説明会で住民から強い不安と反対の声が上がっている。市東さんに対する強制執行は、これに繋がることから、周辺住民の生活を破壊し、憲法的保障の枠外に追いやることになる。

 ②については、2016年の運用実績を提示して、国際航空需要の減少を明らかにし、強制執行をやってまで本件農地を転用する緊急性も必要性もない。「増大する首都圏の国際航空需要に一刻も早く対応するため」という空港会社の口実は、ますます実態とかけ離れている。

 ③空港会社は、南台農地の一部につきGSE/ULD置き場とするという口実(架空の計画だ)で取り上げようとしている。しかしLCCターミナルに隣接する取香地区で、用地買収が進んだ結果、造成と道路工事が進んでいる。これによって広大なGSE置き場が確保できたのだから、南台の置き場計画は不要となった。

 これらの求釈明に対する空港会社の釈明を待って、次回以降、本格的な主張と論戦が行われることになる。
 強制執行を阻止し、最高裁判決を事実上ひっくり返す請求異議裁判とはどのようなものなのか? 第2回裁判を傍聴して、そのことが徐々に明らかになってきたように思われた。
▼取香地区のGSE置き場計画と新設道路
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原告・市東さんの準備書面(1)全文  請求異議裁判第2回

 5月25日の請求異議裁判で、原告・市東さんが提出した準備書面(1)は、以下からダウンロードしてください。
     ↓↓↓
  [注] 以下を訂正願います   19頁「第3」→「第2」   23頁「第4」→「第3」

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主張・釈明が法廷を圧倒!  請求異議第2回裁判(5月25日)

20170525shi  昨日(25日)、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、請求異議の第2回裁判が開かれた。わずか数枚足らずの空港会社の書面に対して、弁護団は分厚い書面を提出(準備書面1と2)、約1時間をかけてその要旨を陳述した。
 準備書面(1)は、前回裁判で裁判所が行った求釈明に答えて市東孝雄さんの主張を核心的に主張するもの。三つの柱で構成されている。
 第1 空港会社の強制執行請求権の放棄
 第2 知事の許可処分の条件(離作補償料給付)は停止条件である
 第3 空港会社による強制執行の請求は権利の濫用であり許されない

 第1の「強制執行請求権の放棄」とは、空港会社が「今後あらゆる意味で強制的手段をとらない」と公式に表明し、用地問題は「あくまで話し合い解決」(1994年11月11日円卓会議)と誓約したことを根拠とする。この空港会社の姿勢は基本事件(農地法裁判)の審理過程で、空港会社側証人を含めて変わることはなかった。
 弁護団の指摘に対して、空港会社は「1994年のことだから口頭弁論終結後のことではない」とか「これは一審から上告審まで主張、審理されてきた」などと釈明しているが、審理されたことは一度もなく、学説的にも強制執行は「もっぱら執行の段階でその作用を発揮するものだから口頭弁論終結前のことでも主張して差し支えない」としている。会社側の釈明は崩れており、「最高裁の判決で考えが変わった、今は違う」という弁明は通用しない。

 第2の離作補償給付について。知事は解約申し入れを許可するにあたって離作補償の支払いを「条件」として明記した。空港会社は「条件」と書かれていることは認めたものの、これは土地の明け渡しと同時に支払えばいい(法的には「負担」)と言い張っている。裁判所は双方に対して判例・学説に基づき主張するよう求め、弁護団の陳述はこれに正面から答えるものだった。他方、空港会社の釈明には判例・学説の展開はないばかりか、明け渡し前に支払えば「原告(市東さん)は、離作補償とその間の農業利益と二重の利益を得ることになる」などと主張、それが裁判所の新たな釈明要求とされる始末。

 第3の「権利濫用」論は圧巻の陳述となった。最高裁判例によれば「確定判決上の権利といえども、信義に従い誠実に行使すべきであって、これを濫用してはならない」としている。だが、空港会社は「強制的手段の放棄」公約に真っ向から反して暴力的に農地を取り上げようとしている。「これが著しい信義則違反、反道義的行為でなくてなんであるか!」と強く弾劾した。
 また、GSE・ULD(特殊車両と航空用コンテナ)置き場をつくるなどという虚偽計画は信義にもとる。家の前の天神峰農地では出荷場など営農手段の一切を取り上げ、南台農地では係争中の畑(耕作権裁判)の真ん中を囲い込んで周囲を含めて使えなくさせるものだが、この執行に緊急性はない。さらに、会社代理人は、農地の「一部強制執行もある」などと発言したが、これは「害意ある恫愒執行」であって、権利濫用の極みというべきだと追及した。

 以上までが準備書面(1)の陳述内容。その後、口頭弁論終結後の具体的事実に基づく求釈明が準備書面(2)として陳述されたが、その報告は次回。

 この日は、午前9時に千葉市中央公園に集合し、市東孝雄さんを先頭に裁判所までデモ行進した。10時に葉山弁護士とともに、「強制執行の不許可を求める署名」5395筆を裁判所に提出した。
 裁判報告会で市東さんは、署名へのお礼を述べるとともに、「現地調査やカフェにたくさんの人が来ています。自分として気楽にやりたいと思っていました(笑)が…、励みになります。空港会社をもっと追及したい」と話しました。

次回裁判は8月10日(木)午前10時30分開廷
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  ▼写真
    ・報告会で発言する市東孝雄さん
    ・署名を手に裁判所に入る

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5・25請求異議第2回裁判へ

傍聴とデモへの参加をお願いします

請求異議裁判 第2回口頭弁論
 5月25日(木) 午前10時30分 開廷
  ──抽選があるので傍聴を希望される方は、10時までにお集りください

*デモがあります
 午前9時 千葉市中央公園集合
 デモ後に、強制執行の不許可を求める署名(第1次集約分)を裁判所に提出します

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5.25千葉地裁傍聴へ  請求異議裁判Q&A ⑶

_a_ver2_blog1 ⑶5・25請求異議第2回裁判はどんな内容?

Q)次回の裁判はどのような内容になりますか?
A)前回報告した三つの論点について、踏み込んだ応酬になります。
 第1回裁判で高瀬裁判長(地民第5部)は、これらの論点に関連して3点、原告・被告双方に釈明を求めました。
 ①市東さんと弁護団に対して、「強制執行請求権の放棄」の主張とともに、権利濫用を主張するか?
 ②当事者双方に対して、離作補償の支払いは条件か負担か(3月2日のブログ参照)について、判例学説で明らかにされたい
 ③被告空港会社に対して、離作補償料について弁済の提示は行ったか?

 いずれも重要な論点ですが、まずなによりも空港会社の雑駁な答弁書(2月24日付)に対する徹底した反論です。「強制的手段の放棄」「高裁判決の違法・無効」「離作補償未支払い」のいずれについても、じつに粗雑な主張で開き直っているからです。

 裁判所主導の釈明要求は、早期結審に向かう訴訟指揮とも見られます。これを打ち破り、徹底的な事実調べと論戦、証人調べに持ち込む事が必要です。

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