弁護団が新証拠を提出! 空港会社の誤認は明らか  2・18耕作権裁判

419_shinyoujyu  2月18日、千葉地裁民事第2部(内田裁判長)で、耕作権裁判が開かれた。この裁判で、弁護団は南台農地の位置に関する決定的証拠を提出した。それが左に掲載した実測平面図。空港会社が市東さんの賃借地と主張する「南台41-9」には、石橋政次宅の屋敷林である針葉樹の記号が付けられている。この土地は、市東さんの賃借地ではなく、石橋氏が借りていたことを示す、動かぬ証拠だ。
 この平面図は、工事実施計画の行政訴訟(1967年提訴、すでに終結)で運輸大臣が証拠提出したもの。1967年10月に空中写真が撮影され、同年12月に実地測量して作成された。
 市東家は、「南台41-9」の土地を賃借しておらず、耕作したことがない。市東さんは裁判当初からこのことを、さまざまな証拠をもって訴えてきたが、空港会社は「市東賃借地」の主張を押し通し、耕作権裁判はもちろん、最高裁で確定した行訴・農地法裁判(請求異議裁判の基本事件)でも、それによって立論してきた。新証拠は、市東さんの耕作が「不法耕作」でないばかりか、明け渡し裁判でありながら肝心要の対象位置が間違っていることを、あらためて突きつけている。
 耕作権裁判は提訴から13年にもなるが、いまだ地裁で争われている。それは空港会社が南台農地の貸借場所等についての書類を隠し続けているからである。空港会社は秘密裏に行った買収交渉の記録などすべての書類を開示せよ!
 この日の裁判では、文書提出命令を促す上申書を提出した。裁判所はインカメラによって判断することになっているが、弁護団は、その詳細について法廷で明らかにすべきだと迫った。
 さらに、航空写真解析や時効取得に関する専門家を含む5名の学者・専門家による立証プランを具体的に示した。
 次回は、5月13日(月)、次々回は7月29日(月)、いずれも10時30分開廷。

|

再度、強制執行停止を決定  千葉地裁

 21日午後、千葉地裁民事第4部は、判決直後に行った市東さんの執行停止申し立てを、認める決定を行なった。

  これは20日の不当判決で、執行停止決定が取り消されたことに対する措置。この日、弁護団は、控訴手続きの間隙を縫って強行しかねない空港会社の悪質さを疎明する書面を提出し、決定を迫った。
 この再度の決定により、高裁に係属するまでの空白期間に強制執行を強行しようという、空港会社の卑劣な策謀は断たれることとなった。

|

最低最悪の不当判決!  速報 請求異議判決(12・20)

 判決は想定されたなかでも最低最悪の内容だった。主文のなかみは以下。

 ①強制執行を許さないとの判決を求めた市東さんの訴えはいずれも却下
 ②判決までの間、執行を停止するとした裁判所の決定を取り消す
 ③訴訟費用は原告負担
 ④この判決は仮に執行できる

 市東さんと弁護団は直ちに控訴し、併せて、「急迫の事態」を理由とする執行停止をあらためて千葉地裁に申し立てた。
 この新たな申し立ては地裁民事第4部に係属し、ただちに面接となったが、その場で裁判所は「高裁に係属するここ一か月余のうちにも空港会社が強制執行しかねないとする疎明を、補充書として提出するよう要求。明21日、午後2時15分から再度、面接することを確認して終わった。

 判決は、いちばんの争点である「強制執行権の放棄ないし不執行の合意」(強制的手段放棄の公約のこと)について、小泉さんの和解を無視して「口頭弁論終結前の事由」などと言いなし、事実を偽造した悪名高い多見谷判決を踏襲して「強制執行権の放棄ないし不執行の合意は認められない」と切り捨てている。
 また、権利濫用の主張については、上記デタラメな判断に加え、「農地を転用して空港にすることには公共性がある」から、「強制執行は権利濫用ではない」と決めつけている。対極にある農業の公共的役割や営農権については「採用しない」というのみなのだ。
 いったいこの二年間で行われた、重厚な論述、歴史証言、補佐人陳述の何を聞いていたのかと思わせるスカスカの判決内容だ。要するに何も見ず、何も聞かず、空港会社に肩入れありきで頭を組み立てているとしか思えない。

 〝すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される〟(憲法76条3項)
 高瀬裁判長は、この裁判の折衝の場で、何を思ってか「自分は小役人ですから・・」と、驚きの言葉を発している。いかにも、己の職責もわきまえずに権力を手にした小役人らしい判決というべきものだ。

|

12・20請求異議判決 千葉地裁へ

 農地取り上げの強制執行を阻止する請求異議裁判(千葉地裁民事第5部高瀬順久裁判長)の判決が間近に迫りました。12月20日午後2時開廷です。
 当日の予定は以下のとおりです。

 ・正午 千葉市中央公園集合
  集会ののち千葉地裁に向けてデモ行進(12:45出発)
  *1時30分 傍聴整理券交付・抽選

 ・2時 開廷 判決
  閉廷後に、裁判報告と記者会見(於・弁護士会館 裁判所向い )

 なんとしても、「強制執行は違法。認めない」とする、市東さん勝訴の判決を! 
 多くのみなさん、お集まりください。

|

非道を、ふたたび許さない! ──沖縄特別報告と事務局報告 11・18シンポジウム報告(3)

 続いて沖縄からの特別報告。仕事が休みの週末、辺野古で抗議船の船長を務める横山知恵さんです。
 「三里塚と沖縄は、〝国策〟の暴力で踏みにじられていることで似ています。『たとえ不当判決でも耕し続ける』という市東さんは、生活そのものが大きな抵抗になっていて、これも沖縄と似ていると感じて、私は感動しました」と、現地調査の感想を率直に。
 そして、「なんとしても新基地建設を止めるとみんな覚悟していますが、これだけ強行されると、作られてしまうんじゃないかという不安がどこかある。その思いに対する答えを、市東さんのお姿に見たような気がしました。諦めずに毎日、自分の生活を守っていくことだと勇気づけられました」と話しました。
 沖縄では、翁長知事の急逝にともなう知事選で、過去最多得票数を得て玉城デニーさんを知事に押し上げたことを報告。しかし、その後、翁長知事の命をかけた承認撤回が、政府によってあっさり執行停止され、工事再開のためのフロートが張られているという。「それでも必死に抵抗したのですが、海上保安庁が私たちどんどん拘束して組織行動をさせない状況です」と悔しさをにじませました。
 「ひとつ希望は、海路による土砂搬出の本部(もとぶ)港塩川が台風で壊れて、沖縄防衛局に土砂を運ぶ手立てがないこと」「人がいれば工事は止められる。短時間でも来て欲しいが、来られない人は今いるその場で、辺野古の現状を伝えて裾野を広げて欲しい。一緒に頑張りましょう」と訴えました。

 最後に、「市東さんの会」事務局から小川正治が、「怒りをともに、私たちが問われている」と題して基調報告。ちょうど一年前のシンポジウムを振り返り、その直前の請求異議裁判で、高瀬裁判長が早期結審の姿勢を示したことに反撃して、四証言と二人の補佐人陳述を闘い取り、ついに「決戦のとき」をむかえたことを確認。四つの行動方針を提起しました。
 判決を迎え撃つ12・20傍聴闘争に立ち上がる
 法廷外行動を強化し、ただちに翌19日の耕作権裁判でデモ・裁判所包囲行動へ
 現地との連携強化。「現地調査」などの取り組みとともに、異変があればただちに駆けつける陣形づくり
 坂本進一郎・井村弘子共同代表と10余名の事務局体制による運営。弁護団の獅子奮迅の活動に応える裁判財政の強化
 以上のもとに、「あくまで畑を耕し、絶対に動かない」という市東さんの決意に応える運動作りを呼びかけました。

 閉会の辞を担当した事務局の林伸子は、「前回の裁判の報告会で内藤さんが、『それでも司法を信じたい』とおっしゃいました。私たちも、自分たちがもっている司法を信じたい。そう思います。12月20日、みなさんのお顔がそろうようにがんばりましょう」と呼びかけました。

|

非道を、ふたたび許さない! ──弁護団報告と市東さん挨拶 11・18シンポジウム報告(2)

_tr _tr_2

 10分間の休憩の後、前半の講演を受けての後半へ。まず吉田哲也弁護士が弁護団報告。請求異議裁判が、最高裁の確定判決の後で行われた、めったにない裁判であること、市東さんの場合の執行停止は、とりわけ「権利濫用」にあたるといった基本的な問題を、内藤教授の講演を踏まえてわかりやすく説明。さらに、農地取り上げの必要性・緊急性を具体的に主張できない空港会社の事態を、耕作権裁判の偽造問題を含めて解説しました。
 「この異例の裁判が、実際を止めてここまで闘えたのは、市東さんの訴えには理由があり、裁判所も無視できないからです」「こうして2年間、執行をさせず、営農権や農業の意味を明らかにし、証言も勝ち取ったことこそ請求異議裁判のいちばんの地平です」と話しました。「この地平をさらに広げていく。法律(人権)にとっての意義、農業にとっての意義をさらに深め広げたい」と訴えました。
 的を射た平易な解説と報告に拍手。続いて葉山弁護士、大口弁護士が20日の判決に向かう決意を表明しました。一瀬弁護士が参加されたことが報告されました。

 続いていよいよ、万雷の拍手を受けて市東さんが挨拶。「ここまで闘いが続いたのはみなさんのご支援のおかげです」とお礼を述べ、「20日に判決が出るが、それからがまた私の闘いだと思っています」と心境を述べました。
「弁護団のみなさん、内藤先生、石原先生の陳述と、加瀬さん、小泉さん、富夫さんの証言が、私に畑を守る力を与えてくれた。判決がどうなるかはわからないが、やり尽くしたという感はある。それでも高瀬裁判長が多見谷と同じような判決を出すなら、やってみろという気持ちです。天神峰の畑を耕し続けるんだという意気込みでこれからも進んでいこうと思います」と判決に向かう姿勢を言葉にして、さらに支援を訴えました。

 以上を受けての、フロアーからの質問、意見。
 匝瑳(そうさ)市の小川さん。「農民としての市東さんを抹殺する不条理は許せません。第二次代執行の映像で、『全国農民の名において強制収用を阻む』という幟があったが、これは市東さんだけの闘いではない」「今、私のところでは50戸の1割が空き家で、農業をやっているのは3戸しかない。食っていけず止める農家は市東さんとまさに表裏一体です。農民と政府との関係を三里塚は、くっきり示しています」と話しました。そして石原報告を引いて、コメ政策と種子法廃止、TAG、BSE─食の安全など、農家を廃業に追い込む農政を批判し、市東さんの闘いの大切さを述べました。

 この後に続く、沖縄からの特別報告と市東さんの会事務局の基調報告は次回。

|

非道を、ふたたび許さない! ──請求異議判決迎え撃つ11・18シンポジウム 報告(1)

_tr_2  11月18日、文京区民センターでシンポジウムを開催しました。来月20日に予定される請求異議判決を前に、「非道をふたたび許さない」「判決を迎え撃つ」としたシンポジウム。この一年間の成果を確認し、市東さんとともに判決に臨むものとして開催しました。

 最初に、『過酷執行─1971年三里塚第二次代執行の小泉よねさん』と題するDVDが上映されました。請求異議裁判で周知されたこの言葉を視覚的に映し出して、市東さんに迫る問題を明らかにしようとする試みです。
 上映の後の開会の辞で事務局は、「今日のシンポジウムは判決を控えて、これを迎え撃つ決起集会。映像にある小泉よねさんに対する強制執行は絶対に許せない。これと同じことを市東さんにやることは絶対に認められない。判決がどのようなものであろうと、市東さんとともに闘って農地を守り抜きたい」と挨拶。
 続いて坂本進一郎共同代表のメッセージ。「判決を座して待つのか、それとも迎え撃つのか、──迎え撃つ構えと力が、今日のシンポジウムに託された。抑圧あるところ解放あり。正義は勝たなければならない」と呼びかけました。

 いよいよ講演です。私たちが考える「判決を迎え撃つ」とは、市東さんの闘いの正当性と正義に確信をもって、判決に立ち向かうことです。請求異議裁判を切り開いた内藤光博教授と石原健二氏の講演と報告です。
 最初に、「生計の途を断ち、生きる意欲までも奪いつくす過酷執行」と題して内藤教授が講演しました。内藤教授は、一年前のシンポジウムで行った自らの問題提起を踏まえ、その後に法廷で進められた理論の深化を三つの点から明らかにしました。
 第一に、「農業・営農権」保障の憲法的意義。「農業」それ自体の言葉は現行憲法にはありません。しかしその「憲法的価値」と「憲法的公共性」は、現行憲法前文と25条生存権から導き出されることを明らかにしました。
 そして海外においては、スイス連邦憲法と韓国改憲草案で、農業の本源的役割を位置付けていることを紹介しました。
 さらに、「農業の特質と複合的権利性ゆえに、農地の強制収用は住居や生産手段などの生存基盤を剥奪するにとどまらず、長年の労働と創意工夫を注ぎ込んだ精神性をも剥奪することから人格的生存をも侵害する過酷執行であって憲法に違反する」と訴えました。
 第二に、「過酷執行」論。その過酷執行性ということでは、執行過程における暴力性と執行後に続く人間破壊の二面性を明らかにし、そのことが小泉よねさん強制代執行についての法廷証言で裏付けられたことを確認しました。
 「公式謝罪」と「強制的手段の放棄」の今日的有効性が、そこに至る経過と小泉さん和解の完成によって証明できたことが確認されました。
 第三に、「権利濫用」論。市東さんに対する強制執行について、①根本的な問題として「人間の尊厳」(憲法13条)を突き崩すものであること、②民法における「権利濫用5類型」にことごとく該当すること、③市東さんにおいてもよねさんと同様に、執行過程と将来の人間破壊という二面性をもつ過酷執行であることを明らかにしました。
 内藤教授は最後に、「強制執行は市東さんの人格的自立を損なう「人間の尊厳」の侵害行為。憲法76条3項が言うように、裁判官はその良心にしたがって独立して職権を行う。正義と公正だけに縛られ、人間の尊厳に立ち返って判決を出すべきであり、執行停止を判決すべき」と締めくくりました。

 続いて石原先生の農政報告。
 「安倍内閣は日米FTAのことを〝TAG〟と言っている。敗戦したのに〝終戦〟と言い換えたのと同じで、国民を騙す言葉です」と指摘し、欧州EPA交渉における関税引き下げの実態と数値の詳細を紹介。「TPP11ではTPP12より緩和し、EUにはさらに譲歩している。自動車の関税撤廃の要求の見返りとして農産物を差し出している」と話しました。
 さらに「今年はコメ政策の大きな曲がり角。政府によるコメの配分が無くなりました。あと5年で、米作農家は自分で作って、自分で売れ、余ったらエサ米にまわせという。要するに、天変地異で大きく変わるコメ生産を、余った時も足りなくなっても農家の責任にする。主食をこのように扱うのは先進国で日本が唯一」怒りを込めて報告。
 「食管法を廃止してから、生産者米価も消費者米価も商社が決定していて、農家から安く買い、消費者には倍で売る」「15ヘクタールないと米作農家は成り立たず、農家は廃業。代わって企業が参入し農地取得が進み、農家のための農業政策は放棄されている」
 そう訴えて最後に、「この農政のもとで、最後に残るのは市東さんのやり方しかないと僕は思う。それは生産者と消費者が直接結ぶこと。いまや流通から生産までも企業が支配する時に、生産者を理解する消費者と生産者が手を組んで、直接的に広げていく。これ以外にない」と結びました。

 以上がシンポジウムの肝になる前半部分。休憩をはさんでの後半は次回に報告します。

|

河北新報にも書評 ──「『亡国農政』を徹底批判」の見出しで

<東北の本棚>「亡国農政」を徹底批判

大地に生きる百姓 坂本進一郎 著

 食料自給率わずか38%、農村は人口流出に歯止めがかからず、中山間地は荒廃、「地方創生」はお題目ばかりだ。「自民党農政は、農業つぶしの亡国農政」-。秋田県大潟村に入植、間もなく半世紀になる著者の痛切な叫びである。
 著者は1941年、仙台市生まれ。東北大経済学部卒。北東公庫を退職して大潟村に入植したのが69年だ。稲作農家となるが、この時期から減反政策が本格化、青刈り、ヤミ米、農地明け渡し訴訟と混乱を極めた。猫の目農政を批判してきた「大地に生きる百姓」の1人である。
 成田空港問題、三里塚の農民の闘いに連帯を訴える。空港の誘導路の中に宅地と畑が囲まれ、土地収用を巡って裁判で闘っている農民が現在もいる。かつて成田空港問題は大きな社会問題としてクローズアップされたが、近頃はニュースにも出ない。もう終わってしまったのかと思うほどだが、「権力という暴力によって農地を取り上げる成田空港問題こそ、日本の農業問題の縮図だ」と訴える。
 親から子へ、子から孫へ、家族労働で守ってきた日本の伝統農業、本来は自給自足を基本にした。肥料は牛糞(ふん)、人糞を使い、馬耕で賄った。そんなにお金をかけるわけではない。「もうかる農業」を目指し、土地の流動化、大規模化を狙った近代化農法は結局、化学肥料や機械を購入する「お金を使う農業の仕組み」に変えていった。もうかったのは機械メーカーだけである。何でも米国にならって効率主義。果ては「安保条約で守ってやるから、日本は農産物を輸入せよ」とは「米国の押し売り商法」と厳しく批判する。
 戦後農政に対する批判は、これまでも多くの人々が語ってきた。しかしこの頃は、農山村を歩いても、語られる声さえ聞かれなくなった気がする。それだからこそ、著者の亡国農政を批判する言葉の意味は重い。
 社会評論社03(3814)3861=1944円。

|

11・18シンポジウムのビラです!

20181118_as 20181118_bs

 今年のシンポジウムは格別です。請求異議12・20判決直前の11月18日に開催します。
 判決を待つのではなく、確信をもって判決を迎え撃つ構えのシンポジウムです。
 昨年、私たちは「憲法と農業、農民の人権」という斬新なテーマのシンポジウムを開催しました。それから一年、市東さんの裁判はこの問題を主張のベースとして進行し、論点が研ぎ澄まされ、新機軸も打ち立てられて結審を迎えました。
 この裁判で切り開かれた地平とは? その成果を明らかにして、勝利への確信を打ち立てるためのシンポジウムです。ぜひお越しください!

 2018年11月18日(日)
  *文京区民センター
    東京都文京区本郷4−15−14
    最寄駅:地下鉄:春日駅、後楽園駅、JR水道橋駅東口
  *開場13:15 開始13:30
  *資料代 500円

|

日本農業新聞に書評  『大地に生きる百姓 ──農業つぶしの国策に抗って』

20181014_2 2018年10月14日付 『日本農業新聞』

『大地に生きる百姓 農業つぶしの国策に抗って』
坂本進一郎・著

 これまでの、そして「今」の農政への一百姓=農民の怒りの書である。「亡穀とは亡国なり」の叫びが胸に響く。
 副題「農業つぶしの国策に抗って」とあるが、本書冒頭で、国が農民の土地を取り上げる成田・三里塚闘争で、今なお当事者である市東孝雄さんの現状を挙げる。市東さんは千葉県成田市で三代続く農家。「民事強制執行」の名の下に、農地取り上げと言う緊迫の事態が迫っている。
 減反問題で揺れ動く秋田県大潟村で農業を営む著者は、米国の言いなりでなく、大企業本位ではない農政の確立を長年訴え続けてきた。安倍政権で一気に貿易自由化が進む中で、〈亡穀=亡国〉とは、土地利用型農業の危機感を端的に表す。序文では、中国の憂国詩人・屈原の話に触れる。
 豊富な歴史的知識をまぶした本書で、得心したのは「自由民権運動の伏流水 谷中村と秩父事件、三里塚」。日本初の公害問題・谷中村事件で先頭に立った、田中正造の国への怒りは、世紀を超え形を変え今も農民に受け継がれる。「人間の顔をした農業」を説く著者の思いは、農政の本質とは何かも問うているのだ。
(社会評論社 1800円+税)

|

«弁護団の最終弁論第2部  9・27請求異議裁判報告(3)