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最終弁論の核心部分 まとめはここ!   (3/27行政訴訟・農地法裁判 報告②)

 最終準備書面は198ページの厚さであるが、そのエッセンスは第5部17章「結語」の「2. 本件における核心的争点と要件の違法性」に書かれている。

 土地収用法が適用できなくなった成田において、農地法を使った事実上の公用収用は許されない。約1町歩、市東さんが耕作する農地の約65%を取り上げる収用は例がなく、生存権的財産権を侵奪するものであって、戦後の憲法体系そのものを破壊する違憲・違法の処分だと明記している。一言で言えば、この裁判は農地法の適用違憲を問う裁判と言える。

 またTPPは、98%を占める家族農業をつぶして法人企業におきかえるものだが、これはいわば農民からの大規模な農地収奪。市東さんの農地問題は、TPPとの関係からも重要な問題を提起している。

 以下に、「結語」の要約部分と目次を掲載します。 ≫≫続きを読むへ

 ▼写真は弁護団のみなさんと市東さん(3/27夕刻の裁判報告会)
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第5部 17章

2.本件における核心的争点と要件の違法性
そのような立場から、本件における核心的争点と要件の違法性を、以下に整理する。
(1) 核心的争点
 第1は、
本件解約許可処分がもたらす強制執行は実質的な公用収用であり、憲法25条、29条、31条に違反する違憲の処分ということである。土地を公用収用するための土地収用法と耕作者の保護を法目的とする農地法の賃貸借解約とは、位相の異なることであって、事業認定が失効し土地収用法が適用できなくなったからといって、農地法20条の解約をもって代える決定は、戦後の憲法体系そのものを破壊する違憲・違法の処分である。
 第2は、この処分は市東氏の営農を破壊し、生存権の基礎となる財産権を侵奪するものとして憲法に違反する。被告市東孝雄の耕作する農地の約65%、1町歩にもなる農地を取り上げるこの処分は、戦後の土地収用史上まれにみる暴挙というべきである(それは、成田空港問題に関してかつて強行された、戦後最大規模と言われた第1次・第2次強制代執行の合計面積をも凌駕しているのである)。
農地と農民の権利を守るべき農地法を違法に使った、事実上の公用収用の違憲・違法は、TPP(環太平洋経済連携協定)や農地法改悪などが象徴する農家切捨ての政治ともかかわり、本件裁判の本質を決めるものとなっている。
(2) 要件の違法性
以上を踏まえて、被告市東孝雄は、原告成田空港会社の違法性を徹底的に明らかにした。すなわち、
① そもそも原告成田空港には、農地法20条による解約申請者たる資格がない。
原告は小作人市東東市の同意を得ないまま、訴外藤﨑政吉、訴外岩沢和行から土地を違法に取得した。農地法施行規則7条11号は知事の許可を不要としているに留まり、小作人の同意までも不要としているのでは断じてない。原告成田空港と被告千葉県の主張は意図的で悪質な問題のすり替えであることは、そもそも空港公団の内規にさえも背反していることからしても明白である。
② また、南台41の敷地外農地の売買契約は農地法5条に違反する。原告成田空港は、転用目的で農地を違法に取得しながら、しかも転用せず、15年間に亘って農地を違法に所有し続け、地代を違法に騙し取った詐欺の共犯である。
③ 更に原告成田空港は、農地法20条の要件にことごとく違反している。本件転用事業には何らの「相当性」はなく、「具体的な転用計画の存在」「許可が見込めること」「離作補償」などの諸点は認められない。2006 年許可処分の構造的欠陥と違法性、辻褄合わせのための架空の計画であるGSE/ULD、でたらめな離作補償など、要件は適法などとは到底言えない。
④ なお、原告成田空港と被告千葉県は、被告市東孝雄の主張を歪曲し、「離作補償金の金額が極めて低額であると主張する」などとして、被告市東が補償のつり上げを狙うものであるかの如くに歪めた解釈を押出しているが、被告市東孝雄の主張はそうではなく、離作補償についても要件を満たすものではなく、被告市東の営農そのものを否認しているとの主張以上でないことは論をまたない。
⑤ 更に、解約申請後の行政手続には、著しい違法性が認められ憲法31条に違反している。
成田市農業委員会は、数々の農地法違反によって申請者たる資格のない原告成田空港の解約申請を違法に受理したばかりか、位置特定の誤りついての調査請求という最も基礎的要求さえ敢えて無視して、違法に手続きを進めた。
千葉県農業会議もまた同様に職務を果たすことなく、「空港会社の申請はフリーパス」などとの驚くべき怠慢・癒着すら法廷で公言するほどのいい加減な審査によって、知事の諮問に対して「転用相当」を答申し、知事は違法に本件許可を決定した。
解約許可対象地の特定の誤りは、詳細な調査に基づく報告書、航空写真等により立証され、原告成田空港は請求を放棄した。
(会社は、「市東の違法耕作」などと悪宣伝をなしていたのであって、敗訴を防ぐためにのみなしたかかる「請求の放棄」は許しがたいものである。「市東の不法占有」なるものから「占有が回復された」というのは、そうであるとするならば、会社が違法な自力救済を行ったということを自白することになるものである。)
⑥ しかもこの過程に於いて、「境界確認書」「同意書」の偽造が発覚した。すなわち、1989年の事業認定期限切れを前にして、原告成田空港は被告市東孝雄の占有権限を収用することを目的に、位置を特定する偽造文書を作成した経緯も明らかにされた。
⑦ なお、解約許可請求権はすでに時効消滅している。
本件許可決定は、これらの違法に敢えて目をつぶった違法の手続によって、強行されたのである。
(3) 農地法第1条は、この法律の目的を、耕作者の権利の保護と地位の安定においている。
「この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的とする。」(農地法第1条)
以上にあげた重要な問題が、<正義・公平>の立場に立ちきった裁判所によって、憲法と農地法の根本的な規範から判断されなければならないのである。

■準備書面(46) 目次
 序章 本件裁判の本質と争点について
【第1部】本件解約許可処分の違憲性(憲法25条・29条・31条違反)
 第1章 事業認定失効後の本件解約許可処分とこれに基づく明渡訴訟は、実質的公用収用で違憲である。
 第2章 本件解約許可処分に適用された農地法20 条は憲法25 条・29 条・31 条に違反する
【第2部】本件解約許可処分に基づく明渡請求の違憲・違法性(その1)
      ──空港会社は農地法20条の解約申請者となり得ない
 第3章 小作人の同意なき土地取得はできない
 第4章 公団(会社)による15 年間に及ぶ農地所有の違法
 第5章 敷地外土地の売買契約の違法性
【第3部】本件解約許可処分に基づく明渡請求の違憲・違法性(その2)
      ──農地法20条の要件違反
 第6章 本件解約許可処分は農地法20 条に違反する
 第7章 農地転用事業の違法性(2006 年許可処分の問題性)
 第8章 GSE/ULD転用計画(間に合わせの架空計画性)
 第9章 でたらめな離作補償
【第4部】本件解約許可処分に基づく明渡請求の違憲・違法性(その3)
      ──手続違反その他
 第10章 著しい手続違反憲法31 条違反
 第11章 解約許可の対象地の誤り
 第12章 解約許可を請求する権利の消滅
【第5部】本件明渡し請求は訴権の濫用であり却下されるべきである
 第13章 訴権の濫用
 第14章 市東孝雄に対する苛烈な営農・生活破壊攻撃
 第15章 空港の際限のない野放図な拡張の問題性・不当性
 第16章 仮執行宣言
 第17章 結語

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