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最終弁論ONE POINT ②  「実質的な公用収用、憲法違反」 ~第1部第1章~

19670130kanpou_s 「本件訴訟は、形式を民事訴訟とするが実質的に公用収用の一環である。生存権的財産権であり、農民にとって命である農地を民事訴訟法における要件事実の有無に限縮して、憲法29条における公共性、正当な補償等の要件充足性の審理を行わずに適正手続なしに収奪するものであって、憲法29条、25条、31条に違反し、無効というべきである」
 ──第1部「本件解約許可処分の違憲性」の第1章「実質的な公用収用」 15~16頁

 最終弁論は5部で構成され、第1部(1章と2章)で解約許可決定と明け渡し請求の違憲性を核心的に論述し、第2部、3部、4部で各論的に展開Mokuji_3 し、第5部で結論を述べている。(右の目次をクリック)
 今日のワンポイントは第1部の第1章「実質的な公用収用、憲法違反」。
 “成田空港会社が千葉県に対して小作契約の解約許可申請を行い、知事が許可を決定する。この決定に基づいて明け渡しの裁判を起こし、勝訴すれば機動隊を動員して力で農地を取り上げる”
 ──これは「賃貸借の解約」という形をとっているが、71年行政代執行と本質的に何ら異るところがない。
 農民にとって、農地は生きるために欠かせないもの(生存権的財産権)である。空港会社は、この農地を単なる土地の貸借関係を解消するものに切り縮め、解約に必要な条件をクリヤーすれば良いかのように主張するが、結果することは強制力による公用地のための権利はく奪(収用)である。
 これは憲法29条(財産権)、25条(生存権)、31条(適正手続)に違反する。
 ここが農地裁判のいちばん大事なところ。では、空港会社が拠りどころにする農地法とは何か? 農地法20条とはどのようなものなのか? 農地法に依拠することの違憲性は第2章に書かれている。
to be continued───

もう少し詳しく知りたい人は ≫≫続きを読むへ
 ▼上図は官報に掲載された空港計画図 (官報 第12036号 昭和42年1月30日)
   南台の畑と天神峰の畑は空港用地にかかっている。事業認定の処分が下り収用対象の土地にされた。

 市東さんが明け渡しを求められている2か所の畑(南台と天神峰)は、そもそも空港用地として収用の対象とされた農地である。
 歴史経過を見れば、単なる貸借関係の解消で済むような問題ではなく、≪農地法で収用する≫ということの問題性がわかる。(市東さんの農地そのものの歴史については第2章で詳述)

・1969年12月16日、建設大臣が事業認定処分。南台と天神峰農地はその対象地になった。
・1987年4月24日、空港公団はこの農地について市東東市さん(孝雄さんの父)を賃借人と認めて、収用手続きの関係人として追加する手続きを行った。
・この年の暮れから翌春にかけて、空港公団は市東さんの耕作地(契約畑)の特定を行うための作業に入り、「賃借地境界確認書」「同意書」と添付図面などの偽造文書を作成した。位置の特定は収用手続きのために必須。
・1988年、空港公団は翌年12月に迫る事業認定期限切れに追われるように未買収地の強制収用への動きを急速に強めた。
 「収用委員会のあっせんに応じない場合は、裁決・代執行を辞さない強行方針を固めるに至った」との報道(1988年7月15日付 産経新聞)
・1988年10月、収用委員が辞任
・1989年12月17日、事業認定が失効し土地収用法が適用できなくなった
・1993年6月16日、空港公団は収用手続きを取り下げた
 ※成田空港問題シンポジウムで、政府・空港公団は「あらゆる意味で強制的手段はとらず、あくまで話し合いで解決する」ことを公的に約束している。

 以上の経過に明らかなことは、空港公団は市東さんの畑を土地収用法で取り上げようと、書類まで偽造して手続きを始めていたという事実である。それが立ち行かなり、収用権限も失効し、任意買収によるしかなくなったができるはずもなく、農地法を使って農地を事実上収用するという、常軌を逸した手段に訴えた。
 しかしこれは、農地法の主旨を踏み破る違憲・違法の公用収用。「強制的手段がとられてはならない」とした政府・空港公団の公的表明をも反故にするものである。農地法と農地法20条の適用違憲については、第2章で詳しく論述されている。

▼参考資料 隅谷調査団提言と中村公団総裁(当時)の公約
・隅谷調査団の最終所見
 「平行滑走路用地の取得のために、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならず、あくまでも話合いにより解決されなければならない」
「計画予定地および騒音下の住民との合意を形成しながら進めることが肝要である」

・中村公団総裁の公的約束
 「この所見をこれまでの私どもの空港づくりに対するご叱責と、併せて今後進むべき道をお示しいただいたものと受け止め、深く思いをいたすと共に重いものと認識し、これを受け入れさせていただきます」
「成田空港問題の原因は、私どもが、空港を早くつくりたいとの強い気持ちから、一方的な空港づくりを行ってきたために、対立の構造を生じさせてしまったとの認識を忘れてはならないと考えています」「その際、調査団所見の「滑走路計画について」で示された民主的な建設の手法を遵守してまいることは当然であります。

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