coffee break 「糧の道」 真壁 仁
おれの手は まだ縄文期の土の肌ざわりと
焼畑の土の ほろにがさを覚えている
みとのまぐわいが稲麦の豊饒をもたらした日
種子も土も精液で肥えていた・・・・・
藁を燃やす現代の焼畑の上にうごめいている鉄の魔ものたち
あいつらは 人を追いたて大地を枯らした
けれどもおれたちは取戻す 生きている土を
おれたちは鍛える おれたちの機械を
見よ
ヒンドスタンの高原から 揚子江岸の沃野へ
朝鮮半島の青山里へ
それから 沖縄の受水走水の稲田から
士別の泥炭地へ
さらに 北見のオホーツク圏へ
ひとすじの糧の道がつづいている
おれには見えるのだ その道を
藁の好きな馬たちが
幻となって闊歩してくるのが
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