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農地法による「農地収用」は憲法違反 ──内藤光博さん シンポジウム報告④

Photo  内藤先生は憲法学の視点から、市東さんの農地取り上げ問題を明らかにしました。

1)冒頭、シンポジウムのテーマである「公共性」について、要旨、次のように述べています。
 「公共性」は自民党改憲草案でも中心的な問題である(「公益および公の秩序」)。
 日本国憲法は人権をすべての人に平等に保障しているが、同時に「公共の福祉」による制限を明確にしていて、この「公共の福祉」はともすれば国家の利益として主張され、憲法的公共性あるいは市民的公共性と対立する場合がある。
 国家的、権力的な公共性というものは、じつは人権と対立し制限するものとして使われることが大問題。

2)これを踏まえて、次に市東さんの農地について
 結論的に、市東さんの農地取り上げ(事実上の土地収用)に、農地法を適用するのは憲法29条に違反する。
 もともと農地法は農地転用のためのものではなくて、農地解放を受けた小作人の地位を保全し、農地を維持し、安定的な食料供給を目指して制定された。憲法に次ぐ法律だと言ってよいほどの意味があった。農地法は何度か改正されたが、この立法目的は不変。この法律を適用して農地を取り上げるということは、法の目的からして許されない。
 憲法29条は「財産権はこれを侵してはならない」としたうえで、「公共の福祉」に適合することを求め、「正当な補償のもとに公共のために用いることができる」と書いている。土地収用法はこれに基づいている。
 土地収用法が適用できなくなったので、それに代えて農地法(農地賃貸借の解約制限)で事実上の収用効果を得るとなると問題が起きる。29条3項の正当な補償が受けられないことになり、生存に関わるような農地を収用することは29条1項の財産権補償を侵害する。
 成田では土地収用法はもはや適用できないから、現在、市東さんから土地を取り上げる法的根拠はどこにも存在しない。それをあえて農地法を持ち出して収用効果を得ようとするのは、憲法違反である。

3)そして最後に次のように結ばれました
 農地というのは単なる財産ではない。生存権的財産であるがこれにとどまらず、そこから食料を生み出し全人類に提供しているという意味で公共財。本来カネに代えられないものを、資本の論理で押し通すことなると、市民的あるいは憲法的人権に関わるような公共性というものが、損なわれ滅ぼされるということになろうかと考える。
 さらに日本国憲法の25条は、健康かつ文化的な生存を維持する権利(生存権)を認めているが、市東さんは有機農業を信念としている。その文化的生存権を破壊することになると思う。
 農地法などはなくしてしまおうと(政権は)思っているのだろうが、農業の重要性までも滅ぼしてしまうという大問題にいきつく大きな課題を抱えていると、私は考えている。

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