弁護団の更新意見が法廷を圧倒! 耕作権裁判(7・11)

更新意見は、この耕作権裁判における最大の争点であり、上告審(行訴・農地法裁判)の前提をもなす、賃借地(明け渡し請求の農地)の場所の誤りと空港会社による証拠(「同意書」「境界確認書」)の偽造問題を中心に展開された。
冒頭、葉山岳夫弁護士が総説を陳述した。その後、
・ 賃借地は収用裁決申請の記載内容とその作成経緯、運輸省への報告書からして関係土地図A・B(証拠提出図面)であり、空港会社による賃借場所の特定は誤っている:遠藤憲一弁護士
・ 断続的に撮影された航空写真によっても、空港会社が市東賃貸地と主張する「南台41-9」は、石橋政次氏の宅地と一体のものとして使用されており、石橋賃借地であって市東賃借地ではない。:大口昭彦弁護士
・ 「元永メモ」は1988年3月当時(偽造文書作成時点)の市東東市氏の供述を記録したものであり、空港会社の主張の誤りを示す重要証拠。:一瀬敬一郎弁護士
・ 藤﨑政吉氏(地主)から聴取した記録は、空港会社による場所の特定の誤りを裏付けている。:浅野史生弁護士
・ 筆跡鑑定によっても、「同意書」「境界確認書」に書かれた「市東東市」の署名は偽筆・偽造。:葉山岳夫弁護士
角度の異なる視点と多くの証拠で、空港会社の主張を崩した上で、吉田哲也弁護士が、上記争点に関する裁判所の文書提出命令に従わない空港会社を指弾し、内田裁判長に対して次のように訴えた。
「原告空港会社は、交渉記録(関係文書)は一切存在しないとの主張に終始しているが、①東京高裁の差し戻し決定、②差し戻し後の千葉地裁の提出命令の決定、③東京高裁による抗告棄却決定と、3度にわたって原告の弁解は裁判所によって退けられている」
「よって裁判所(内田裁判長)は、空港会社が提出した「同意書」「境界確認書」(甲8、9号証)は偽造または錯誤により無効と認定し、空港会社の訴えを棄却すべき」
弁護団はさらに、賃借権の時効取得(長谷川直彦弁護士)、空港会社による農地法3条・5条違反(西村正治弁護士)を陳述し、予定時間を超えて更新意見を終了した。
ところで、これら弁護団の緻密な主張に追いつめられた空港会社は、「成田市農業委員会の書類によれば、被告市東の賃借場所は特定されておらず、南台41番地の中であればどこでもよかった」などと、今年2月になって予備的主張なるものを提出した。これに対して、一瀬弁護士が「これまで何回廷にもわたって争ってきた主張をひっくり返すもの。それなら根拠を示せ。裁判所はそのように指揮すべきだ」と追及し、空港会社が書面で提出することになった。
次回期日は10月17日(月)、次々回は来年1月30日(月)。いずれも10時30分開廷。
裁判報告会で市東孝雄さんは、「空港会社は相変わらずはっきりしない訴訟態度で、裁判所が不当判決を下すことを待っているかのようです。みなさんと力を合わせて打ち破りたい」(写真)と抱負を述べた。
上告審(行訴・農地法裁判)では、9月7日(水)に、最高裁に対するデモと署名提出が予定されている。
緊迫の度を深める市東さんの農地裁判に支援の輪を拡げ、農地・農業を守りましょう。
【写真】報告会で発言する市東孝雄さんと、右から葉山、遠藤、一瀬の各弁護士
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