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【声明】私たちは最高裁の上告棄却を弾劾します


         私たちは最高裁の上告棄却を弾劾します

 最高裁判所第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は、10月25日、行訴・農地法併合裁判における市東孝雄さんの上告を棄却しました。これは成田空港会社の訴えを認めた一審千葉地裁(多見谷寿郎裁判長 2014年8月25日)、二審東京高裁(小林昭彦裁判長 2015年6月12日)の不当判決を是認し、市東さんの農地の強制収用を認める不当な決定です。

 私たちは心の底からの怒りを込めて、この決定を弾劾します。

 空港会社が取り上げようとしている市東さんの農地は、大正期に祖父・市太郎さんが開墾したものです。戦後、父・東市さんの帰還が遅れたため小作地のまま残されましたが、3代100年近く耕作を受け継ぐ豊かな農地です。
 1988年、空港会社は小作地であるこの農地を、耕作者の市東東市さんに無断で買収し、その事実を18年間秘匿して地代を騙し取り、明け渡しを求めて千葉県知事の解約許可決定を取り付けました。市東さんは知事決定を不服として行政訴訟を提起し(2007年7月27日)、空港会社は、農地の明け渡しを求めて提訴しました(2008年10月17日)。裁判はこれら二つの併合裁判です。
 一見、農地賃貸借関係の解約訴訟に見えますが、この農地は成田空港暫定滑走路の誘導路予定地にあり、拒否すれば強制執行にいきつく「公用収用」そのものです。その規模は千葉地裁の関連裁判(耕作権裁判)を合わせると、市東さんの全耕作面積の73%に及び、戦後最大の収用事件といわれた1971年成田強制代執行を上回る広さです。
 裁判では、農地と耕作者の権利を守る農地法を違法に適用して、土地収用の効果を得るという違法・違憲を最大の争点に、成田空港の反公共性から農業の公共的役割、生存権的財産権としての農地と耕作者の地位の保全に至るさまざまな角度から、市東さんが耕し続けることの正当性を明らかにしてきました。

 その9年間に及ぶ法廷闘争を、わずか3行の主文と数行の理由ならざる理由で切り捨てた最高裁の決定は、到底容認できるものではありません。
 一つに、農地は耕作者市東孝雄さんの命と生活の源泉です。そればかりか無農薬有機農業と産直によって農の再生を図る共同生産者と、その農業をともに育む多くの消費者のものであって、これを奪うことは認められません。
 二つに、農地法は戦後農地改革を経て農地の保全と耕作者の地位の保護を目的に制定されました。棄却決定は、そのあらゆる法令を踏み破る空港会社の違法を許すばかりか、これを農地取り上げの手段とすることを認める歴史的な暴挙です。
 これらはいずれも企業の農業参入を進めて家族農業をつぶし、農地法を形だけのものにしてTPPを押し進める国の政策と一体です。
 さらに、成田空港地域では、1978年5月開港以降も、滑走路・誘導路等の拡張工事が際限なく続けられてきました。そして新たに1000ha空港拡張と200戸の移転をもたらす第3滑走路建設が地元住民を無視して強行されようとしています。「公益」「国策」を盾にしたその手法は、原発再稼働や基地新設にも繋がる強権政治であり、最高裁決定はこれにお墨付きを与えるものとして許すことができません。

 千葉地裁の耕作権裁判では、空港会社の証拠偽造が明らかにされ、最高裁決定の前提が揺らいでいます。市東孝雄さんと弁護団、そして支援者の不屈の闘いは変わることなく続きます。
 私たち「市東さんの農地取り上げに反対する会」は、なおいっそう市東さんを支え、市東さんとともに闘います。11月20日、千駄ヶ谷区民会館のシンポジウムにお集りください。

 2016年10月27日

市東さんの農地取り上げに反対する会

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