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農民の人権は踏みにじられている!  シンポジウムで熱い論議(1) 11・23 文京区民センター

_s  11月23日、文京区民センターで、恒例のシンポジウムが開かれました。「憲法と農業──農民の人権は守られているか」をテーマにした今年のシンポジウムは、講演と鼎談、緊迫する市東さんの裁判報告、沖縄からの特別報告など、ギュッとつまった内容の濃い勉強会になりました。
 冒頭、坂本進一郎共同代表からのメッセージ。「農業の復権は護憲運動と表裏の関係。農業再生には安倍政権の反動性を否定し、真の意味での民主主義の再生が必要」と、シンポジウムの成功を呼びかけました。

・強制執行の違憲性と「農業・営農権」保障の憲法的意義
 第1部「講演とディスカッション」で、講演に立った憲法学の内藤光博教授(専修大学)は、安倍内閣の改憲は、「9条を変えずに自衛隊を加えるだけ」というが、加憲によって「戦力不保持・交戦権否認の9条2項を無力にする」と批判。自民党改憲草案の「公益及び公の秩序」は基本的人権よりも国家利益を優位に転換する。市東さん事件と成田の土地収奪はその先取りだと指摘しました。
 そして71年小泉よねさんに対する強制代執行は〝過酷執行〟であって、市東さんに対する民事強制執行はこれと同質の権利濫用であり、「強制的手段の放棄の公約破棄」と「基本的人権の根源的侵害」という点で、二重の意味での権利濫用になると批判しました。
 さらに内藤教授は、試論と断りながら、農業及び農業を遂行する行為(農業・営農権)は憲法上の基本的人権として位置付けられるべきものと提起。農業の衰退と農家廃業、地域崩壊の現状を念頭に置きつつ、生存権的財産権としての農地、さらに個人の尊厳、生存権や労働権の視覚(憲法25条、29条、13条、27条)から問題を提起しました。

・食料自給論と食料主権のない日本
 この講演を受けて、石原健二さん(農業経済学)、三宅征子さん(消費者・市民運動)が加わって鼎談に。
 石原さんは、「生存権的財産権は食料自給論が基底になくてはならない」として政策問題を核心的に説き起しました。61年農業基本法の「生産費所得補償」に始まりながら、小規模農家を切り捨て、農産物を際限なく自由化し、企業の農業参入を制度化しその価格支配をもたらし、TPPに至った負の歴史は、食糧自給の考え方を持たない日本の農政にあると、怒りを込めて話しました。内藤教授による憲法学からの問題提起を鮮明に裏打ちする内容でした。
 また三宅さんは、憲法前文を引きつつ、「自国民のための食料生産確保を最優先し、食料・農業政策を自主的に決定する権利」としての〝食料主権〟の視点から、食料自給率が象徴する自由化と定義の後進性を問題提起しました。さらにスイス憲法における農業の位置付けとこれを強化した今年の国民投票を紹介。「市東さんと萩原さんによる産直野菜の消費者は、それを選ぶことによって健康な食生活を維持する権利を行使している。国は、市東さんの農地が侵害されないことによって得られる消費者の権利を守ることに努めなければならない」と結びました。
 市東さんの農地裁判を念頭に、「憲法と農業」「農民の基本的人権」を考えるシンポジウムの第1部は、内藤教授の講演と問題提起をベースに熱い論議がなされ、稲作農家の討論を含めて、じつに刺激的で示唆深い内容になりました。

 ──以上が第1部の報告です。第2部「緊迫の成田! 強制的手段による農地取り上げは許されない」は次回に。

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