« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »

2018年3月

空港会社の執行主張をうち砕く大弁論  3・8請求異議裁判 報告(2)

 成田空港会社は準備書面5(2月9日付)で、強制執行が適法であると主張している。その柱は、①「強制執行が権利の濫用にあたるのは特異な事態の場合であって、並大抵の事情でないと容認できることではない」、②「その訴えは口頭弁論終結後に生じた事由に限る」というもの。そして最高裁の確定判決を錦の御旗に、強制執行が正当だと主張している。
 だが、まさにその確定判決は、弁論主義の大原則を踏み破る不当判決(一審・多見谷判決)をそっくり踏襲したものだ。多見谷判決は、「強制的手段の放棄」の公約について、「これは話し合いが頓挫した場合についても、強制的手段を講じることがないとまで言及したものではない」などと、空港会社さえ主張してない解釈を勝手に加えて空港会社に肩入れした。高裁・最高裁はこの粗雑・違法な判決を踏襲したのである。
 しかもこの公約は、強制執行段階なって初めて現実のものになる。空港会社は、公約が円卓会議(1994年)のことだから「口頭弁論終結(2015年3月4日)後の事由」ではないと主張するが、まさに執行の当否が問われる今、「強制的手段の放棄」が現実化しているのである。
 弁論の冒頭、葉山弁護士がこの空港会社の主張を打ち砕く弁論を展開した。これに続いて各弁護士が、準備書面5で出された空港会社の主張をひとつひとつ崩した。

 まず大口弁護士が、昨年7月15日にB'滑走路南端で発生したあわや大惨事というべきオーバーラン事故をとらえて、強制執行は住民をまきこむ重大事故の可能性を増大させることを論述した。さらに、長谷川弁護士が、市東さんの有機農業と産直型協同性について仔細に語り、空港会社の無用無益な工事に比して、強制執行が営農に回復不能の打撃を与えることを論述した。
 続く西村弁護士は、「離作補償」を掲げながらその未払いを開き直り、立ち退かない今の時点で支払えば「補償の二重払いになる」という空港会社の驚くべき暴論に反撃し、この状態の強制執行は「不誠実な手段・経緯によって取得・帰属する権利の行使」にあたるから不許可とすべきだと論断した。

 ところで空港会社は、「判決が確定し立ち退かなければ当然、強制執行となる」と言って、「強制執行を行う必要性、相当性」の有無は執行力を左右するものではない主張している。これに対して遠藤弁護士は、たとえ確定判決があろうとも、法は「信義に従い誠実に行使されるべきであって濫用してはならない」としていることを判例を引いて論述し、空港会社は"恫喝執行"だと論難し、なお強行するなら再び流血の事態を引き起こすと弾劾した。
 最後に一瀬弁護士が、提出された学者三氏の意見書を踏まえた弁論を展開した。
①「NAAの空港経営と市東氏の農地・農業について ──その公共的意義を比較検証する」(鎌倉孝夫 経済学)
②「市東氏の有機農業と産直型協同性の社会的意義に関する意見書 ──本件民事強制執行によって喪失する社会的価値は多大であり、成田空港会社が得る効果との間に均衡を欠き、同強制執行はしてはならない」(石原健二 農業経済学)
③「市東孝雄氏の農地法事件における民事強制執行権行使の違法性および違憲性 ──空港会社の「公約違反」および「営農権」の侵害に基づく「権利濫用論」の視点から」(内藤光博 憲法学)
それぞれ力のこもった意見書のエッセンスを論述することで、強制執行がもつ権利濫用と社会的価値・効果の著しい不均衡が明らかにされた。

 その後の裁判進行についてのやり取りは前回報告のとおり。学者意見書については、そのエッセンスを改めて紹介します。

|

小泉、加瀬、萩原、市東さん本人を採用するも、拙速・結審の動き露骨   3・8請求異議裁判 報告(1)

 3月8日、千葉地裁民事第5部(高瀬裁判長)で請求異議裁判(第5回)が開かれた。この日いちばんの焦点は、審理を尽くさず早期結審に向かう高瀬裁判長との証人採用攻防。
 法廷は冒頭、入庁時の持ち物検査に抗議し、その後、弁護団が最高裁確定判決を盾に強制執行を主張する空港会社(準備書面5)に対する全面的な反論を行った。(圧巻の弁論の詳細は別途報告)
 その後証人採用問題に移り、高瀬裁判長は以下を表明し、原告・被告双方に意見を求めた。

 ・小泉英政、加瀬勉、萩原富夫、原告・市東孝雄本人を尋問する
 ・期日は、5月24日と6月28日の2期日とする

 これに対して弁護団は、決定の4証人に加えて、鎌倉孝夫、石原健二、内藤光博3氏の学者証人の採用を強く求めた。
 証人調べでは、当事者証人とともに客観的に意見を述べる学識経験・専門家証人の証言が不可欠。市東さんにとって命と言うべき農地の収用を、権利を振りかざして押し切る空港会社に対して、審理を尽くさぬ訴訟指揮は許されない。
 高瀬裁判長は、当事者個々の証人と学識経験者の証言の性格の違いを認めながらも、「検討するが期待はしないでくれ」と逃げを打ち、「7月17日に弁論期日(最終弁論だ!)を予定する」と結審の意図をあからさまにした。
 6月28日に予定される 尋問調書もできないなかで、最終弁論がどうしてできるのか! 終わりを区切った拙速審理は絶対に許されない!

|

« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »