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2018年9月

圧巻の最終弁論  9・27請求異議裁判報告(1)

_tr  27日の最終弁論は、始めに市東孝雄さんの陳述で始まった。

 ●あくまでも畑を耕し、絶対に動かない
                ──市東孝雄さん
 市東さんは冒頭、「自分の仕事と農地に誇りをもって生きてきた」と述べた。野菜づくりの方法には完成がなく、試行錯誤しながら土壌を作り、日々の工夫と努力の積み重ねによるしかないと語り、「天神峰と南台の農地はそうしてできた私にとっての命です」と訴えた。
 この市東さんに対して、空港会社は農地を〝只の土地〟だと考え、カネを積むから出て行けという姿勢。事実をねじ曲げて空港会社を勝たせてくれた多見谷判決と同様に、裁判所に任せておけば大丈夫だという態度だと弾劾した。
 強制執行は市東さんが耕す農地の7割以上にのぼる。「そのすべてが畑で育つ野菜と一緒につぶされます。祖父の代からの汗と涙、これまでの努力が重機の下に押しつぶされ、二度と野菜ができないと思うと、悔しくて涙が出る」「私に対する強制執行と、よねさんに対する代執行とのどこが違うのか」と訴えた。
 そして「二年間にわたる弁論と証言、補佐人の陳述で、権利濫用は完全に明らかにされたと信じている」と述べた上で、その審理に踏まえるはずの「裁判長の判決いかんで、四十七年前のよねさんに対する代執行と同じ地点に自分は立たされる」と高瀬裁判長に迫り、次のように決意を述べた。

 「私はあくまでも天神峰と南台で私の畑を耕し、絶対に動かない」

 そして最後に、「農地取り上げの強制執行は認めない、との判決を強く求めます」と訴えた。
 堂々とした最終陳述に、傍聴席は感動に包まれ大きな拍手が送られました。

 ●憲法違反の権利濫用・過酷(苛酷)執行 ──内藤補佐人
 続いて陳述した内藤光博補佐人は、まず端的に陳述の主旨を述べた。
 「市東さんの農地に対する強制執行は、生存権的財産権および営農権を侵害し、人間としての尊厳を踏みにじる過酷執行であって憲法に違反し、許されない」
 そして民事執行手続における「公平な執行」の原則をあげて、「法は債務者(市東さん)と債権者(空港会社)の利益を公平に考えており、債務者が不当な不利益を受けることがないように配慮」すべきで、「まる裸にするような過酷な執行は許されない」と陳述した。
 さらに、先の陳述で示した「権利濫用の5類型」に、市東さんに対する強制執行のすべてが当てはまることを具体的に指摘するとともに、その本質的な問題について以下のように述べた。
 なによりも、市東さんに対する強制執行には「二重の意味で権利濫用(過酷執行性)」があること。①公約違反による執行がもたらす小泉よねさん事件との同質性、②耕作地の73%を取り上げることによる「営農権」「生存的財産権」の侵害。その二重性である。
 また、その過酷執行にも「現在」と「将来」にわたるものとの二つがあると指摘した。一つは、農地と生産手段など生存の基盤そのものの収奪(現在の人権侵害性)。二つ目は、精魂込めて打ち込む有機農業と生きる意欲を奪い取って市東さんの尊厳を侵害すること(将来の人権侵害性)。
 内藤補佐人は最後に、「市東さんの魂というべき農地を根こそぎ奪うことは、よねさん事件とまったく同じで、市東さんに人生を否定し精神的な死をもたらす」「土地収用法に代えて農地法を使うことの悪質性は明らかであり、公式謝罪と公約の放棄は全国民に対する背信行為であって到底容認できない」と結んだ。

 ●農家が生き残る最良かつ先駆的な営農形態 ──石原補佐人
 石原健二補佐人は、冒頭、「前回の陳述からわずか2ヶ月、その間にも日欧EPAや日米首脳会談、コメ政策の転換で農家がより厳しい状況に追い込まれている」と声高に訴えた。矢継ぎ早の対外交渉は、いずれも、自動車など工業製品と引き換えに農産物市場の全面開放を加速させている。
 対外的に、日本のコメはまったく太刀打ちできない。政府は対策として「産直型の流通と販売を奨励しているが、その場合の生産者は認定農業法人、販売相手は卸と企業、企業のための選別政策」だと陳述した。農家は政策の埒外におかれているのだ。
 ここに至る農政のジグザグを、石原補佐人は次のように端的に語っている。
 出発は1961年農業基本法。ここで日本は、それまでの米麦中心の農業から麦・大豆を捨ててアメリカから輸入し、「自立経営農家の育成」「多様な農業振興」を掲げて、畜産、果樹、園芸などを、農家や農業団体の反発を押し倒して推進した。
 しかしこの構造改善事業とともに起きたことは、コメの生産過剰と農産物自由化の流れ。稲作や畜産農家の廃業と果樹、園芸の衰退といった現在の状況は、まさにこのジグザグと食料自給の理念を捨てた際限のない「自由化」によるというのだ。
 石原補佐人は、構造改善事業の一環として進められたシルクコンビナート構想が空港によって中止とされ、国策に揺さぶられた三里塚の農民(青年)たちが、農業つぶしの象徴である空港に反対し、有機農業と産直型協同性を他に先駆けて進めてきたことを改めて明らかにした。その中に生まれた市東さんの農業を、「今の最悪の農業環境のなかで、農家が生き残る最良かつ先駆的な形態」だと高く評価した。
 そして「2009年の農地法改正は耕作者主義を排除し、農地を公共財と位置づけた。これは農地を一般の土地と同様の商品として扱うもの」
「しかし農地を公共財というが、農家にとっては生存権的財産権。先の分からない開発に農地を取られてはならない。即刻、安心して市東さんが農業を続けられるようにすべきです」と訴えた。

 限られた時間のなかで、この裁判の核心を突き出した補佐人の陳述に、傍聴席は大きな拍手で応えた。
 その後、法廷は、弁護団による最終弁論に移った。用意された書面は230ページにわたる膨大なもので、12の論点で構成されている。3時間近い大弁論が行われたが、その詳細は次回のブログで。
 以下に、市東孝雄さんの陳述全文と、内藤、石原両補佐人の陳述要旨を添付します。

 ▼市東孝雄さん最終陳述→「20180927shitou.pdf」をダウンロード
 ▼内藤補佐人陳述要旨→「20180927naitou_blog-X.pdf」をダウンロード
 ▼石原補佐人陳述要旨→「20180927ishihara.pdf」をダウンロード

 *写真は裁判報告会で挨拶する市東孝雄さん

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今年のシンポジウムは11月18日です!

 シンポジウムの日取りと会場が決まりましたのでお知らせします。

  市東さんの会シンポジウム
   ▼日時 11月18日(日)午後
   ▼会場 文京区民センター
           最寄駅:春日駅、後楽園駅、JR水道橋駅

  詳細は追ってお知らせします。

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判決期日は12月20日です!

 昨日(27日)、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、請求異議裁判の最終弁論が行われた。原告・市東孝雄さんが最終陳述を行い、内藤光博、石原健二両補佐人が陳述し、その後、弁護団全員が長時間にわたる最終弁論をおこない結審となった。

 判決期日は、12月20日(木)午後2時。
 裁判の詳報は次回のブログで行います。
 

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9・27請求異議裁判 最終弁論傍聴へ!

_ass_2  請求異議裁判の最終弁論が明々後日に迫りました。二年間に及ぶ裁判の集大成。これまでの主張・立証と法廷証言、補佐人陳述を踏まえた最後の弁論です。

〝強制執行は、私の営農基盤と生きる希望を奪う過酷執行であり、強制的手段放棄の公約を踏み破る権利濫用であるから許されない〟
 ──この市東さんの主張は、全面的に明らかにされました。空港会社は反論もせず、「裁判所まかせ」を決め込んでいます。高瀬裁判長も多見谷判決のように、事実を捻じ曲げてでも勝たせてくれるだろうという態度です。
 裁かれるのは空港会社と高瀬裁判長。不当判決を許さず、農地を守るために、圧倒的な結集を呼びかけます!

 請求異議裁判第9回 最終弁論
 ・9月27日(木)午後2時開廷
 ・千葉地裁601号法廷
 ※抽選がありますので、傍聴を希望される方は午後1時をめどにお集まりください
 ※デモがあります。正午、千葉市中央公園集合

 市東さん支援の本、好評販売中!
 収益の一部が裁判財政に届けられます。ぜひお買い求めください。
『大地に生きる百姓 ──農業つぶしの国策に抗って』
坂本進一郎著
定価:本体1800円+税
四六版 並製 256頁
社会評論社
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好評発売中!  『大地に生きる百姓─農業つぶしの国策に抗って』 坂本進一郎著

_s300 全国の書店、Amazonなどネット通販でお買い求めいただけます。

でも、こうして買えば、税抜き価格。
売上の一部が市東さんの会を通して、裁判財政に届けられます!

(1)9・27請求異議裁判で
 9月27日(木)に請求異議裁判の最終弁論が行われます。
 閉廷後に裁判報告会が予定されますが、この場でお買い求めいただけます。

(2)社会評論社からの直接販売で
 ▶︎住所・氏名、書名、必要部数を明記の上、「市東さんの会の紹介」と書き添えて、 社会評論社にメールかファックスでお申し込みください。
   ・税抜き価格1,800円
   ・送料無料
   ・振込手数料なしの郵便振替用紙(赤伝)を本と一緒に送りますのでご利用ください。
    社会評論社 E-mail: matsuda@shahyo.com
             Fax: 03-3818-2808

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市東さん連帯の書、ついに発刊!  共同代表・坂本進一郎著

_s300_3 『大地に生きる百姓─農業つぶしの国策に抗って』
 坂本進一郎著
 四六版256頁 定価:1,800円+税
 社会評論社

 著者は秋田県大潟村の農民で、市東さんの農地取り上げに反対する会共同代表。自民党の亡国農政と格闘する日々の政策批判と三里塚連帯の書。ぜひ、お買い求めください。
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   社会評論社 E-mail: matsuda@shahyo.com
           FAX: 03-3818-2808

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いよいよ弁護団の最終弁論 市東さんと補佐人も陳述  9・27請求異議第9回

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 農地取り上げの強制執行を停止させて始まった請求異議裁判は、9月27日、ついに最終弁論迎えます。異例のことと言われた裁判も、審理は8回に及び、市東孝雄さん本人を含む4名の証人と2名の補佐人陳述を実現しました。これらによって、強制執行の権利濫用が満天下に明らかにされました。空港会社の強制執行は社会正義に反しており、してはなりません。
 弁護団の最終弁論はその集大成。この日は石原健二・内藤光博両補佐人と市東孝雄さん本人の陳述も予定されています。
 市東さんを支え、ともに闘ってきたみなさん、千葉地裁に集まってください。

請求異議裁判第9回 最終弁論
 ・9月27日(木)午後2時開廷
 ・千葉地裁601号法廷

 ※抽選がありますので、傍聴を希望される方は午後1時をめどにお集まりください
 ※デモがあります。正午、千葉市中央公園集合

 ▼ビラのPDFはこちらから:「seikyuuigi9.pdf」をダウンロード

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文書開示の大詰め迎え、70分の更新意見  9・3耕作権裁判

 9月3日、千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で、通算38回目の耕作権裁判が開かれた。この日は、左陪席の交代(遠藤安希歩→瀧澤孝太郎)にともなう弁護団の更新意見。

 賃借地の誤認と偽造文書、関係文書の開示問題が大詰めを迎える節目にあたり、 70分を超える大弁論となった。その項目は以下。
①本件土地の所有権を取得していない
②「同意書」「境界確認書」は偽造文書である
③地主・藤﨑政吉からの聴取結果を精査しても、空港会社の賃借地特定は事実に反する
④一部耕作地の賃借権時効取得
⑤賃借地の位置は、収用裁決申請図等の記載内容からみても原告主張の位置ではない
⑥賃借地特定に関する元永メモの信用性は高い
⑦空港会社は文提命令に基づき墨塗り部分を開示すべき
⑧農地強奪の本件訴訟は、1971年小泉よね氏に対する酷烈きわまる代執行を再び行わんとするものであって、訴権の濫用であって許されない

 前回、内田裁判長は弁護団の厳しい追及の前に訴訟指揮を一転させ、空港会社に対して〝墨塗り文書〟の任意開示を勧告した。追い詰められた空港会社は、6月11日付でほんの一部を開示した。だが、肝心要のところは、「利害関係を有するもの、用地交渉の手法等の記載があり、今後の用地交渉に影響する恐れがある」などとの理屈をつけて、墨塗りのまま隠された。空港会社にとって、この裁判上、よほどまずいことが書かれているに違いない。
 裁判長から、さらに一部の提出要請が出され、弁護団は弁論であらためて全面開示を要求した。

 また、弁護団は南台農地の一部の時効取得を主張しているが、その正当性を、天神峰農地との比較において詳細に論じる書面を提出した。天神峰では契約地以外の土地を市東さんの賃借権時効取得としている。この違いも、この裁判における不可解であり、究明されるべきところである。

 耕作権裁判は、偽造文書と、関係する会社隠匿文書、墨塗り文書の全面開示をめぐって、さらに闘いが続くことになる。

 次回期日は、11月19日(月)、次々回は2月18日(月)。いずれも午前10時30分開廷です。

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