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2018年11月

非道を、ふたたび許さない! ──弁護団報告と市東さん挨拶 11・18シンポジウム報告(2)

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 10分間の休憩の後、前半の講演を受けての後半へ。まず吉田哲也弁護士が弁護団報告。請求異議裁判が、最高裁の確定判決の後で行われた、めったにない裁判であること、市東さんの場合の執行停止は、とりわけ「権利濫用」にあたるといった基本的な問題を、内藤教授の講演を踏まえてわかりやすく説明。さらに、農地取り上げの必要性・緊急性を具体的に主張できない空港会社の事態を、耕作権裁判の偽造問題を含めて解説しました。
 「この異例の裁判が、実際を止めてここまで闘えたのは、市東さんの訴えには理由があり、裁判所も無視できないからです」「こうして2年間、執行をさせず、営農権や農業の意味を明らかにし、証言も勝ち取ったことこそ請求異議裁判のいちばんの地平です」と話しました。「この地平をさらに広げていく。法律(人権)にとっての意義、農業にとっての意義をさらに深め広げたい」と訴えました。
 的を射た平易な解説と報告に拍手。続いて葉山弁護士、大口弁護士が20日の判決に向かう決意を表明しました。一瀬弁護士が参加されたことが報告されました。

 続いていよいよ、万雷の拍手を受けて市東さんが挨拶。「ここまで闘いが続いたのはみなさんのご支援のおかげです」とお礼を述べ、「20日に判決が出るが、それからがまた私の闘いだと思っています」と心境を述べました。
「弁護団のみなさん、内藤先生、石原先生の陳述と、加瀬さん、小泉さん、富夫さんの証言が、私に畑を守る力を与えてくれた。判決がどうなるかはわからないが、やり尽くしたという感はある。それでも高瀬裁判長が多見谷と同じような判決を出すなら、やってみろという気持ちです。天神峰の畑を耕し続けるんだという意気込みでこれからも進んでいこうと思います」と判決に向かう姿勢を言葉にして、さらに支援を訴えました。

 以上を受けての、フロアーからの質問、意見。
 匝瑳(そうさ)市の小川さん。「農民としての市東さんを抹殺する不条理は許せません。第二次代執行の映像で、『全国農民の名において強制収用を阻む』という幟があったが、これは市東さんだけの闘いではない」「今、私のところでは50戸の1割が空き家で、農業をやっているのは3戸しかない。食っていけず止める農家は市東さんとまさに表裏一体です。農民と政府との関係を三里塚は、くっきり示しています」と話しました。そして石原報告を引いて、コメ政策と種子法廃止、TAG、BSE─食の安全など、農家を廃業に追い込む農政を批判し、市東さんの闘いの大切さを述べました。

 この後に続く、沖縄からの特別報告と市東さんの会事務局の基調報告は次回。

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非道を、ふたたび許さない! ──請求異議判決迎え撃つ11・18シンポジウム 報告(1)

_tr_2  11月18日、文京区民センターでシンポジウムを開催しました。来月20日に予定される請求異議判決を前に、「非道をふたたび許さない」「判決を迎え撃つ」としたシンポジウム。この一年間の成果を確認し、市東さんとともに判決に臨むものとして開催しました。

 最初に、『過酷執行─1971年三里塚第二次代執行の小泉よねさん』と題するDVDが上映されました。請求異議裁判で周知されたこの言葉を視覚的に映し出して、市東さんに迫る問題を明らかにしようとする試みです。
 上映の後の開会の辞で事務局は、「今日のシンポジウムは判決を控えて、これを迎え撃つ決起集会。映像にある小泉よねさんに対する強制執行は絶対に許せない。これと同じことを市東さんにやることは絶対に認められない。判決がどのようなものであろうと、市東さんとともに闘って農地を守り抜きたい」と挨拶。
 続いて坂本進一郎共同代表のメッセージ。「判決を座して待つのか、それとも迎え撃つのか、──迎え撃つ構えと力が、今日のシンポジウムに託された。抑圧あるところ解放あり。正義は勝たなければならない」と呼びかけました。

 いよいよ講演です。私たちが考える「判決を迎え撃つ」とは、市東さんの闘いの正当性と正義に確信をもって、判決に立ち向かうことです。請求異議裁判を切り開いた内藤光博教授と石原健二氏の講演と報告です。
 最初に、「生計の途を断ち、生きる意欲までも奪いつくす過酷執行」と題して内藤教授が講演しました。内藤教授は、一年前のシンポジウムで行った自らの問題提起を踏まえ、その後に法廷で進められた理論の深化を三つの点から明らかにしました。
 第一に、「農業・営農権」保障の憲法的意義。「農業」それ自体の言葉は現行憲法にはありません。しかしその「憲法的価値」と「憲法的公共性」は、現行憲法前文と25条生存権から導き出されることを明らかにしました。
 そして海外においては、スイス連邦憲法と韓国改憲草案で、農業の本源的役割を位置付けていることを紹介しました。
 さらに、「農業の特質と複合的権利性ゆえに、農地の強制収用は住居や生産手段などの生存基盤を剥奪するにとどまらず、長年の労働と創意工夫を注ぎ込んだ精神性をも剥奪することから人格的生存をも侵害する過酷執行であって憲法に違反する」と訴えました。
 第二に、「過酷執行」論。その過酷執行性ということでは、執行過程における暴力性と執行後に続く人間破壊の二面性を明らかにし、そのことが小泉よねさん強制代執行についての法廷証言で裏付けられたことを確認しました。
 「公式謝罪」と「強制的手段の放棄」の今日的有効性が、そこに至る経過と小泉さん和解の完成によって証明できたことが確認されました。
 第三に、「権利濫用」論。市東さんに対する強制執行について、①根本的な問題として「人間の尊厳」(憲法13条)を突き崩すものであること、②民法における「権利濫用5類型」にことごとく該当すること、③市東さんにおいてもよねさんと同様に、執行過程と将来の人間破壊という二面性をもつ過酷執行であることを明らかにしました。
 内藤教授は最後に、「強制執行は市東さんの人格的自立を損なう「人間の尊厳」の侵害行為。憲法76条3項が言うように、裁判官はその良心にしたがって独立して職権を行う。正義と公正だけに縛られ、人間の尊厳に立ち返って判決を出すべきであり、執行停止を判決すべき」と締めくくりました。

 続いて石原先生の農政報告。
 「安倍内閣は日米FTAのことを〝TAG〟と言っている。敗戦したのに〝終戦〟と言い換えたのと同じで、国民を騙す言葉です」と指摘し、欧州EPA交渉における関税引き下げの実態と数値の詳細を紹介。「TPP11ではTPP12より緩和し、EUにはさらに譲歩している。自動車の関税撤廃の要求の見返りとして農産物を差し出している」と話しました。
 さらに「今年はコメ政策の大きな曲がり角。政府によるコメの配分が無くなりました。あと5年で、米作農家は自分で作って、自分で売れ、余ったらエサ米にまわせという。要するに、天変地異で大きく変わるコメ生産を、余った時も足りなくなっても農家の責任にする。主食をこのように扱うのは先進国で日本が唯一」怒りを込めて報告。
 「食管法を廃止してから、生産者米価も消費者米価も商社が決定していて、農家から安く買い、消費者には倍で売る」「15ヘクタールないと米作農家は成り立たず、農家は廃業。代わって企業が参入し農地取得が進み、農家のための農業政策は放棄されている」
 そう訴えて最後に、「この農政のもとで、最後に残るのは市東さんのやり方しかないと僕は思う。それは生産者と消費者が直接結ぶこと。いまや流通から生産までも企業が支配する時に、生産者を理解する消費者と生産者が手を組んで、直接的に広げていく。これ以外にない」と結びました。

 以上がシンポジウムの肝になる前半部分。休憩をはさんでの後半は次回に報告します。

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