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「新型コロナで土地の転用目的は消滅し、強制執行の根拠はなくなった」──第3回請求異議控訴審 裁判報告(1)弁論要旨

 弁護団は準備書面(4)を提出し、冒頭これを陳述した。
その主旨は
①新型コロナで航空市場が縮小し、成田の過剰設備がB’滑走路閉鎖で露呈した
②これにより「空港機能強化」に根拠はなく、本件土地の転用目的は消滅した
③よって農地取り上げの強制執行は正当な権利の行使と言えず、許可すべきでない
というもの。
 これは請求異議裁判の核心をズバリ突いている。
 航空需要の壊滅状態とB’滑走路の閉鎖は口頭弁論終結後の新事態である。請求異議の事由にあたることが明白であるばかりか、市東さんの農地の転用目的の消滅を意味し、明け渡し請求自体が根拠を失い、その強制執行は不当であり不許可とすべきと訴えた。

●脆弱な空港経営をコロナが直撃
 この準備書面は49頁に及ぶ。法廷では遠藤弁護士によって要点が読み上げられた。
 その第1は「成田空港B’滑走路の閉鎖と運用再開の実態」について。
 成田空港は、コロナ以前から運用実績が低迷しLCC(格安航空)に後退。テナントに収益をたよる脆弱な体質だった。そこにパンデミックが直撃し、インバウンド(訪日旅客)の9割を観光に頼る成田の航空需要は壊滅的状態に。B’滑走路が閉鎖され一部ターミナルも閉鎖になった。8月に入って運用を再開したが、それはLCCの国内線再開に合わせたものにすぎないことが、運用実績によって明らかになった。

●決して元に戻らない──現れた構造的な大問題
 では、この事態は一過性のもので時が過ぎれば元にもどるか? 決してそうではないことを展開したのが、準備書面の第2である。
 航空不況は日本だけではない。世界各国の空港・航空産業が低迷し倒産し、株価が暴落している。これが長期化することがIATA(国際航空運輸協会)をはじめ航空業界が予測する。
 その根拠は、現代社会が抱える構造的な問題である。
 急速かつ世界的なパンデミックを生み出した根源的な要因は、現代資本主義のグローバリズムと無秩序な世界的乱開発と自然破壊にある。森に潜む「未知のウイルス」が活動の接点で人にとりつき、その感染症がグローバル経済を通して瞬く間に世界中に拡散した。しかもウイルスは年々進化していることが、各種の専門家によって指摘されている。
 航空運輸はその感染ルート。感染を遮断するためには制約が避けられない。
 こうした構造的な問題がある以上、日本と世界が問われているのは、これまでのあり方からからの転換である。グリーンリカバリー(持続可能な経済体制への転換)が世界的に叫ばれている。
 この現実を前にして、成田空港の「機能強化」は論外というべきだ。無理と無駄の積み重ねであり、成田空港会社の収益予測からして不可能である。いま、成田空港にとって必要なのは、虚構の航空需要を根拠にした「機能強化」からの転換である。

●農地取り上げの強制執行は権利濫用 不許可とすべき
 準備書面は、以上の展開の上にたって、第3で、市東さんの農地の「空港転用目的の喪失」と「明け渡し請求権の消滅」を明らかにした。
 次のように書いている。
「パンデミックで国際線の航空需要が消滅し、成田空港に関する機能強化の必要性が全くなくなった」
「この転用目的の喪失は、当然明け渡し請求権の消滅を意味し、請求異議事由にあたる」「転用目的の喪失の中で、確定判決に基づく強制執行は『著しく信義誠実の原則に反し、正当な権利行使の名に値しないほど不当』であり、強制執行は権利濫用であり認められない」
 よって農地取り上げの強制執行を、許可すべきでないと結論づけた。

 この弁論を裏付ける証言が、続く鎌倉孝夫氏の証人尋問。鎌倉証言のエッセンスは次回に。

 

▼準備書面(4)全文をご覧ください →     ダウンロード - js4_s.pdf

 

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