裁判

請求異議第2回裁判報告(続き)

 5月25日の裁判で弁護団が陳述した準備書面(2)は、(1)に続く追加の主張。ここでは特に、口頭弁論終結後の新たな事実に基づく展開です。弁護団は以下の3点を取り上げ、本格的主張の前段の求釈明を空港会社に対して行った。

①成田空港の深夜早朝発着の3時間拡大、B滑走路北延伸と第3滑走路計画
②成田空港の国際線航空需要の減少
③取香地区におけるGSE置き場の増設

 ①について、3時間の拡大で静かな夜はわずか4時間。これまでの飛行禁止の規制を大きく破る計画に、空港会社の説明会で住民から強い不安と反対の声が上がっている。市東さんに対する強制執行は、これに繋がることから、周辺住民の生活を破壊し、憲法的保障の枠外に追いやることになる。

 ②については、2016年の運用実績を提示して、国際航空需要の減少を明らかにし、強制執行をやってまで本件農地を転用する緊急性も必要性もない。「増大する首都圏の国際航空需要に一刻も早く対応するため」という空港会社の口実は、ますます実態とかけ離れている。

 ③空港会社は、南台農地の一部につきGSE/ULD置き場とするという口実(架空の計画だ)で取り上げようとしている。しかしLCCターミナルに隣接する取香地区で、用地買収が進んだ結果、造成と道路工事が進んでいる。これによって広大なGSE置き場が確保できたのだから、南台の置き場計画は不要となった。

 これらの求釈明に対する空港会社の釈明を待って、次回以降、本格的な主張と論戦が行われることになる。
 強制執行を阻止し、最高裁判決を事実上ひっくり返す請求異議裁判とはどのようなものなのか? 第2回裁判を傍聴して、そのことが徐々に明らかになってきたように思われた。
▼取香地区のGSE置き場計画と新設道路
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原告・市東さんの準備書面(1)全文  請求異議裁判第2回

 5月25日の請求異議裁判で、原告・市東さんが提出した準備書面(1)は、以下からダウンロードしてください。
     ↓↓↓
  [注] 以下を訂正願います   19頁「第3」→「第2」   23頁「第4」→「第3」

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主張・釈明が法廷を圧倒!  請求異議第2回裁判(5月25日)

20170525shi  昨日(25日)、千葉地裁民事第5部(高瀬順久裁判長)で、請求異議の第2回裁判が開かれた。わずか数枚足らずの空港会社の書面に対して、弁護団は分厚い書面を提出(準備書面1と2)、約1時間をかけてその要旨を陳述した。
 準備書面(1)は、前回裁判で裁判所が行った求釈明に答えて市東孝雄さんの主張を核心的に主張するもの。三つの柱で構成されている。
 第1 空港会社の強制執行請求権の放棄
 第2 知事の許可処分の条件(離作補償料給付)は停止条件である
 第3 空港会社による強制執行の請求は権利の濫用であり許されない

 第1の「強制執行請求権の放棄」とは、空港会社が「今後あらゆる意味で強制的手段をとらない」と公式に表明し、用地問題は「あくまで話し合い解決」(1994年11月11日円卓会議)と誓約したことを根拠とする。この空港会社の姿勢は基本事件(農地法裁判)の審理過程で、空港会社側証人を含めて変わることはなかった。
 弁護団の指摘に対して、空港会社は「1994年のことだから口頭弁論終結後のことではない」とか「これは一審から上告審まで主張、審理されてきた」などと釈明しているが、審理されたことは一度もなく、学説的にも強制執行は「もっぱら執行の段階でその作用を発揮するものだから口頭弁論終結前のことでも主張して差し支えない」としている。会社側の釈明は崩れており、「最高裁の判決で考えが変わった、今は違う」という弁明は通用しない。

 第2の離作補償給付について。知事は解約申し入れを許可するにあたって離作補償の支払いを「条件」として明記した。空港会社は「条件」と書かれていることは認めたものの、これは土地の明け渡しと同時に支払えばいい(法的には「負担」)と言い張っている。裁判所は双方に対して判例・学説に基づき主張するよう求め、弁護団の陳述はこれに正面から答えるものだった。他方、空港会社の釈明には判例・学説の展開はないばかりか、明け渡し前に支払えば「原告(市東さん)は、離作補償とその間の農業利益と二重の利益を得ることになる」などと主張、それが裁判所の新たな釈明要求とされる始末。

 第3の「権利濫用」論は圧巻の陳述となった。最高裁判例によれば「確定判決上の権利といえども、信義に従い誠実に行使すべきであって、これを濫用してはならない」としている。だが、空港会社は「強制的手段の放棄」公約に真っ向から反して暴力的に農地を取り上げようとしている。「これが著しい信義則違反、反道義的行為でなくてなんであるか!」と強く弾劾した。
 また、GSE・ULD(特殊車両と航空用コンテナ)置き場をつくるなどという虚偽計画は信義にもとる。家の前の天神峰農地では出荷場など営農手段の一切を取り上げ、南台農地では係争中の畑(耕作権裁判)の真ん中を囲い込んで周囲を含めて使えなくさせるものだが、この執行に緊急性はない。さらに、会社代理人は、農地の「一部強制執行もある」などと発言したが、これは「害意ある恫愒執行」であって、権利濫用の極みというべきだと追及した。

 以上までが準備書面(1)の陳述内容。その後、口頭弁論終結後の具体的事実に基づく求釈明が準備書面(2)として陳述されたが、その報告は次回。

 この日は、午前9時に千葉市中央公園に集合し、市東孝雄さんを先頭に裁判所までデモ行進した。10時に葉山弁護士とともに、「強制執行の不許可を求める署名」5395筆を裁判所に提出した。
 裁判報告会で市東さんは、署名へのお礼を述べるとともに、「現地調査やカフェにたくさんの人が来ています。自分として気楽にやりたいと思っていました(笑)が…、励みになります。空港会社をもっと追及したい」と話しました。

次回裁判は8月10日(木)午前10時30分開廷
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  ▼写真
    ・報告会で発言する市東孝雄さん
    ・署名を手に裁判所に入る

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5.25千葉地裁傍聴へ  請求異議裁判Q&A ⑶

_a_ver2_blog1 ⑶5・25請求異議第2回裁判はどんな内容?

Q)次回の裁判はどのような内容になりますか?
A)前回報告した三つの論点について、踏み込んだ応酬になります。
 第1回裁判で高瀬裁判長(地民第5部)は、これらの論点に関連して3点、原告・被告双方に釈明を求めました。
 ①市東さんと弁護団に対して、「強制執行請求権の放棄」の主張とともに、権利濫用を主張するか?
 ②当事者双方に対して、離作補償の支払いは条件か負担か(3月2日のブログ参照)について、判例学説で明らかにされたい
 ③被告空港会社に対して、離作補償料について弁済の提示は行ったか?

 いずれも重要な論点ですが、まずなによりも空港会社の雑駁な答弁書(2月24日付)に対する徹底した反論です。「強制的手段の放棄」「高裁判決の違法・無効」「離作補償未支払い」のいずれについても、じつに粗雑な主張で開き直っているからです。

 裁判所主導の釈明要求は、早期結審に向かう訴訟指揮とも見られます。これを打ち破り、徹底的な事実調べと論戦、証人調べに持ち込む事が必要です。

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5.25千葉地裁傍聴へ  請求異議裁判Q&A ⑵

Ookiyone ⑵市東さんの訴えの中味は?

Q)市東さんの訴えの内容を教えてください
A)論点は三つです。

成田空港会社は、そもそも強制執行の請求権を歴史的に放棄している
 1994年10月11日成田空港円卓会議で、国と空港公団は成田空港平行滑走路の用地について、「今後あらゆる意味で強制的手段はとらない」と公式に表明しました。これは、暴力による空港建設の歴史を謝罪し、強制的手段を放棄して、用地問題は「あくまで話し合いによって解決する」と誓約するものでした。
 空港会社が最高裁判決を盾に、市東さんの農地を取り上げようとすれば、強制執行(強制力)によることが避けられず、この公約を破ることになります。強制執行の申立ては、当然、口頭弁論終結後になされるものですから、請求異議の原因となります。

裁判官忌避が決着しないうちに下した高裁・小林裁判長の判決は無効
 農地裁判の控訴審は、第4回(2015年3月4日)で突然、結審が宣言されました。ただちに裁判官忌避を申し立て、最高裁にまで上がりましたが、その審理が途中にもかかわらず、小林裁判長は判決を言い渡しました。これは「忌避申立てがあったときは、申立てについての決定が確定するまで訴訟手続きを中止しなければならない」(民事訴訟法)に反しており、「判決に関与できない裁判官による判決」であって無効です。

離作補償料不払いにより、千葉県知事の許可処分は失効したので強制執行できない
 小作地の解約には知事の許可が必要です。空港会社の申請を受けて千葉県は、2006年9月21日付で、不当にこれを許可しました。このとき知事は、「離作補償を給付すること」を「条件」として明記しました。しかし空港会社は、支払うことも供託もしておらず、許可処分は効力を失っています。
 請求異議裁判は以上の論点で闘われています。

▼写真は、国の暴力を象徴する大木よねさんの強制代執行(1971.9.20)。機動隊の暴力と農家の激しい抵抗闘争は日本社会に衝撃を与え、空港建設は完全に行き詰まった。円卓会議で国・空港公団はその歴史を謝罪し、強制的手段の放棄を公式に表明した

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5・25千葉地裁傍聴へ  請求異議裁判Q&A ⑴

Tr  昨年10月25日の最高裁不当判決は、成田空港会社による農地取り上げを可能にさせるものでしたが、現在その執行手続きは停止し「請求異議裁判」が始まりました。
 水際で強制執行に歯止めがかかる異例の展開ですが、これはどういうことなのでしょうか? Q&Aで3回にわたって解説します。

⑴「請求異議裁判」ってどんな裁判?

Q)一言で言って、「請求異議裁判」って、どんな裁判ですか?
A)農地取り上げの強制執行をやめさせる裁判です。その意味で、最高裁の不当判決を実質的にひっくり返す裁判でもあります。
Q)最高裁で判決が確定したのに、新たに裁判を起こせるのですか?
A)「請求異議裁判」は最高裁の不当判決そのものを変えさせるものではありません。農地明け渡しの強制執行を認めさせない裁判です。
Q)それはどういうこと?
A)法律は、請求権を確定させるための手続き(判決手続き)と、それを実現する手続き(執行手続き)とを区別しています。
 仮に確定判決を受けたとしても、強制執行の請求権の存在や内容に異議がある場合、請求異議を申し立てることができるのです。(ただし、その原因となる事実は、基本的に 口頭弁論終結後=本件では高裁の結審後に生じたものに限定されます)
Q)裁判を起こせば、強制執行はストップするのですか?
A)請求異議裁判を提起しても、それだけでは停止しません。
 裁判を起こすと同時に、弁護団は「強制執行停止決定申立」を行い、裁判所が200万円の保証金を担保にこれを認めたことから、強制執行手続きが停止しました。
Q)こんなことはあまりない?
A)不当とは言え、確定判決が出されたにもかかわらず、強制執行が停止するということは、めったにないそうです。それだけ、市東さんの農地取り上げには、多くの問題があるということです。

 ※次回は請求異議申立の主な内容、次々回は5・25裁判の手続きについてです。
 ▼写真は強制執行停止申立で千葉地裁に向かう市東孝雄さんと弁護団(2016.11.30)

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「強制執行の不許可を求める署名」のお願い  ※集約日は5月23日

Syomei  請求異議裁判勝利のための署名が呼びかけられています。
 宛先は高瀬順久裁判長(千葉地裁民事第5部 請求異議担当裁判官)。下に引用のとおり、成田空港会社による強制執行請求を不許可にするよう求めています。
 裁判は法廷内の闘いとひとつになった法廷外の運動が大切です。また請求異議裁判は急を要します。市東さんの呼びかけに応えて、多くのみなさんの協力をお願いします。

 ※集約の期限は5月23日
 ※署名の集約先は市東孝雄さん
    〒286-0102 成田市天神峰63 市東孝雄

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5・25請求異議第2回裁判へ  ビラができました!

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請求異議裁判の第2回口頭弁論は、5月25日です。みなさん、ぜひ傍聴に行きましょう。
 ビラができました。各種の集会などでお配りします。配布にご協力いただける方は事務局までご連絡ください。
  → E-mail: shitou.nouchi@gmail.com
▼印刷はこちらから

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内田裁判長が密室・拙速審理の姿勢露骨  4・24耕作権裁判

Incamera_mono_sss_2  4月24日、耕作権裁判が千葉地裁民事第2部(内田博久裁判長)で開かれた。この日は最初に、左陪席交代にともなう更新意見が行われた。
 冒頭、葉山弁護士が総論を展開して各論へ。遠藤弁護士が畑の耕作状況について、収用裁決申請図などの記載内容及び作成経過からみても、空港会社の主張が間違っていることを詳細に論じた。続いて大口弁護士が、過去の航空写真を示して、問題の場所(南台41-9)が石橋屋敷林であって畑ではなく、市東さんの賃借農地ではなかったことを展開した。葉山弁護士が、この日提出した新たな証拠(東市さん脳梗塞の後遺症により、偽造文書の署名筆致は不可能)を陳述した。
 その後、吉田弁護士が裁判所の文書提出命令に従わない空港会社の文書は偽造または錯誤により無効を主張。一瀬弁護士が、元永メモ・藤﨑手書き図で文書の偽造を詳細に明らかにした。最後に西村弁護士が、そもそも空港会社は農地法3条と5条に違反して売買しており所有権がないから、解約を求める資格自体が存在しないことを詳論した。

●黒塗り文書を全面的に開示せよ!
 審理は認否・反論を確認する手続きに入ったが、その途上、一瀬弁護士がインカメラ提出文書の黒塗り(ほとんど海苔弁の状態)を、全面的に開示するよう裁判所は命令すべきだと強く迫った。
 問題の書類は、賃借場所の特定に関するもの。文書提出命令で最後的に追いつめられた空港会社が、インカメラ(裁判官が見分しその判断で一部を開示する)によって法廷に提出したもの。耕作場所(賃借契約地)が市東さんの主張のとおりで、空港会社の主張が間違っていることが、誰の眼にも分る形で記されている。(右上の写真:1987年10月20日付、空港公団が報告書として作成)
 この文書について、空港会社は「昭和45年頃の耕作状況をもとに推測したもの」だと釈明したが、その根拠をしめす肝心要が墨塗り状態で、まったく分らない。これで押し通すことなど到底認めることができない。裁判長はしどろもどろになりながら、「命令はしないが、開示を検討してくれ」と言い渡し、空港会社は2週間以内に返答することになった。

●非公開の進行協議の言い渡し
 最後に内田裁判長は、「立証段階を迎えている」として、公開法廷とは違う「進行協議」の場を持ちたいと提案した。弁護団は、農地法3条、5条違反を憲法論として展開するため進行協議は時期尚早と主張した。しかし内田裁判長は、進行協議の日取りを5月22日と強引に言い渡して閉廷。昨年7月の交代以来はじめて、拙速審理・早期結審の姿勢をむき出しにした。次回、さらに緊迫することは避けられない。請求異議裁判とともに、多くのみなさんの傍聴を!
次回:6月26日(月)
次々回:9月25日(月)
Shitou 【写真上】「当初の耕作地」と標記された、インカメラによる提出文書。区割りされた畑に市東東市、石橋政次、根本和之助の名が書かれており、市東さんの耕作地の位置が示されている。
【左】裁判報告会で、「最高裁判決をひっくり返す闘いをやろう」と決意を述べる市東孝雄さん(4・24千葉県弁護士会館)

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NAA 偽造文書の裏側 ──4・24耕作権裁判傍聴へ

 耕作権裁判のいちばんの争点は、空港会社による畑の位置の誤認と、偽造証拠です。この問題は2006年の裁判当初から10年にわたって争われ、いまも市東孝雄さんの父・東市(とういち)さんの署名が偽筆か真筆かで鑑定書の応酬が続いています。いまだに決着がつかないのは、空港会社が関連書類を必死に隠し続けているからです。
 “空港公団(現空港会社)が、東市さんの筆跡をまねて書類を偽造”とは、とんでもないことですが、空港公団用地部なら、さほど驚くことではありません。一冊の内幕本があります。元公団用地部・前田伸夫著『特命交渉人 用地屋』(2005年アスコム)。
 反対農家を敵視して、農家に「嫌われてこそ本望」とするのが用地部。カネを積み、家族・部落を分断して対立させ、政略結婚にも手を染める。米軍がベトナムで使った枯れ葉剤(ボルシル4)で畑を潰すなど朝飯前。
 公団による 偽造文書の日付は1988年4月(2通のうち1通は日付も書かれていない)。翌89年12月には事業認定の期限が切れて土地収用法が失効する。その前に、なんとか市東さんの小作地を収用しようと書類を整える、追いつめられたあげくのことなのです。

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