農民の人権は踏みにじられている! シンポジウムで熱い論議(2)

最初に「市東さんの会」事務局が基調報告。第4回請求異議裁判(11月6日)における高瀬裁判長の訴訟指揮をとらえて、「裁判は拙速・早期結審に向かう非常に緊迫した段階に入った」と訴え、ここからはシンポジウムを〝決起集会〟としようと呼びかけました。傍聴と支援体制の強化の中でも、特に会員拡大とカンパによる裁判基金の拡大・強化を訴えました。
・緊迫の裁判支援を! 市東さんと弁護団
弁護団からは葉山岳夫、一瀬敬一郎、大口昭彦、長谷川直彦弁護士が参加しました。葉山弁護士が、最高裁不当判決(昨年10月25日)の後、請求異議を提訴し強制執行停止を申し立てて、執行を阻止してきた経過を説明、「市東さんの農地取り上げは、耕作する畑の73パーセントに及ぶ。これは生存と生活破壊の農民殺し。71年強制代執行とその後の強制的手段放棄の公約からしても、とうてい許されるものではない」として、裁判所の姿勢に危機感を表明し、「次回(3月8日)は山場」と訴えました。
続いて、大口、長谷川両弁護士が簡潔に決意を表明。最期に一瀬弁護士が、「小泉よねさんに対するような人権侵害はもう許されない。農地取り上げは全国の農業と農民の問題、農業問題は憲法の問題だ」と訴えました。
いよいよ市東孝雄さんの発言。「数ある裁判は、私一人の力ではどうにもできません。裁判基金を含めてご支援を心からお願いします。裁判長の早く終わらせたいという意図が見えています。負けて土地を取られることは、農業をやめろということ。私は一日でも長く、天神峰でこれまで通り、自然体で農業を続けたい」と訴えました。
・沖縄からの特別報告
読谷の知花昌一さん(市東さんの農地を守る沖縄の会 共同代表)から沖縄現地の特別報告。知花さんは、「市東さんの闘いは『緊迫』という言葉だが、沖縄の今は『正念場』です」と切り出し、現地では、毎日座り込みや海上からの搬入阻止闘争、山城博治さんの裁判と高江の闘いが続いているが、阻止し切れておらず、これからどうするということが問われていると話しました。「坂本(共同代表)さんは「蜂の巣城」室原さんの言葉、『理に叶い、法に叶い、情に叶い』を引いたが、それを引き継ぐ三里塚の歴史が沖縄にも必要とされている、そういう時がきている」
「うちもタバコを作り芋作ってやってきたけど生活できず、親父は基地に働きに出ました。農業でメシが食える、それこそが当たり前な社会です。そして基地のない平和な社会。それが根っこです。頑張りましょう」と呼びかけました。
最後に、事務局が「ここに『明日も耕す、この地を耕し続ける』と書かれていますが、『農の嘆きではなく、怒りを持とう』が、今日のシンポジウムのもう一つの標語です。知花さんの言葉の通り、闘いの中からしか状況は変えられません。自然体で闘う市東さんとともに、3月8日千葉地裁を囲む結集を」と閉会の辞を述べて終了しました。
「憲法と農業、──農民の人権は守られているか」をテーマとした今回のシンポジウムは、農業をとりまく状況の本質に迫る、まったく新たな視点からの問題提起です。市東さんの農地取り上げを許さない闘いの意義を深めるものとなったと思います。(シンポジウムの詳細は、1月末発行のパンフレットに掲載します)
▼写真は思いを語る市東孝雄さん
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